動画よりも画像よりも、テキストのほうが何倍も大きな影響力とメリットを持っている。
それを再認識させてくれた堀江貴文さんの著書「99%の会社はいらない」を読みました。
今回は特にグッときたポイントを3つ引用してご紹介します。
目次
人は雇わない
「部下の士気を上げるにはどうしたらいいのか?」などの質問を受けることもあるが、本人がやる気にならない限りはどうしようもないことだし、わざわざ会社がそこまで面倒をみてやるのもおかしな話だ。
では、どうすればいいのか? 答えは簡単で、人を雇わなければいいだけのことだ。
まず1つめのポイントは、この「人を雇わない」という考え方についてです。
アウトソーシングが機能してきている現代であれば、わざわざ高いコストを支払って正規社員を雇うことにメリットは少ないんですよね。ネットで仕事をしてくれる人を募集すればいい。
厳密な成果主義が働くクラウドソーシングなら、社員のやる気を出すために悩む必要はないし、部下のためにプライベートの時間を割く必要もなくなります。
契約しているライターが「やる気がでないから」といって締め切りの延長をお願いしてきても、別のライターに頼むことができます。それがクラウドソーシングですよね。
そもそも私は、普通に正社員として働くのが嫌で新卒フリーランスを目指している身ですから、正社員として雇う側のメリットはほとんど思い浮かびません。雇われる側のメリットはいくつかあると思いますけど。
それならアルバイトや業務委託、派遣社員を登用すればいいんじゃないかなあって思います。正社員である必要ってある?
人を雇うことのリスク
人を雇うことのリスクについては、ホリエモンが過去の体験を紹介しています。
残業代のごまかしや違法なバックマージンの受け取り、過剰接待。
そして、「メディア・リンクス事件」。これは、偽造した社印を使って架空取引を繰り返し、嘘の売上を記録していた事件です。
これらはすべて、悪事をはたらくような人を雇うことによって発生した事件です。しかし、そうした悪事をはたらきそうな社員を、採用時に見分けるのはできるわけがないと本書の中で書かれています。
性悪説に立って人はすべて悪さをする生き物だ、と割りきって社員を雇う。そして重要な判断が必要になる仕事は一切触らせないようにする。そうすることが唯一の防止策でしょうか。
でも、それならアルバイトを雇えばいい話ですよね。
経営者が単純作業をこなすのは時間の無駄だから、その単純作業の部分だけアルバイトに任せる。さらに経営者の仕事が増えてしまって、もっと重要な判断を任せる人材を雇いたいと思い始めたら、そこで少し立ち止まってみる。
もう少し事業を縮小できないだろうか? 人が多くてたくさんの仕事を任せれば任せるほど会社や事業は成功するというわけではないですよね。それなら最初から、SOHOと呼ばれるような小さなオフィス、または数人の個人で事業を進めればいいはずです。
HIUのシステム
ホリエモンの場合は、もう少し先を行った仕組みを用いています。それが、堀江貴文イノベーション大学校(HIU)です。
HIUの中でホリエモンは、「月額1万円を”支払って”僕の業務を手伝ってくれている」といいます。ホリエモンがメンバーに月1万円をあげて手伝ってもらっているんじゃないですよ。メンバーがホリエモンに1万円を支払って、しかも業務の手伝いもしてくれているんです。
なんだか宗教にでもハマって洗脳されてしまっているのかと疑いたくなるようなシステムですが、このHIUについては本書の第4章でも詳しく書かれています。
第4章のHIUについて言及されている部分を読めば、なぜそんな仕組みが成り立っているのか理解できます。ホリエモンのカリスマ性がそうさせている部分もあるかもしれませんが、一番の要因がホリエモンが「独裁者」であることです。
詳しくは本書の第4章をどうぞ。750円+税ですから、利益を度外視した良心的な自己啓発本だと思いますよ。
AIは仕事を奪わない
次に私がグッときたポイントは、「AIに仕事を奪われることはない」という部分です。
正確に言えば、仕事を奪われる人はもちろんいるけど、しっかりと能力を身につけた人物であれば決して奪われることはない、という意味合いになります。
つまり、単純作業しかできない能のない人間はどんどんAIや機械に替わっていくが、熟練した技能を持つ人であればそうならないということです。確かにその通りですよね。
イケてる職人は仕事から開放される
職人が不要になることはない。むしろ、イケている職人たちは、自分たちの技術や能力をいかに機械で再現できるかを考え、研究・実践している。自分にしかできなかった技を機械に代替させれば、それだけ仕事の効率は増すからだ。
すなわち特許権みたいなものですね。自分たちの特許(=技能)をロボットができるようにし、そのロボットを他人に売ることで収入を得る。
その間にイケている職人たちは、新しい技能を身につけたり、より再現性の高いロボットを作り出す。
この仕組なら、なるほどイケている職人たちが不要になることはなく、食いはぐれることもないでしょう。AIが登場して困るのは、イケてない職人たちだけです。
イケてない職人だけが仕事を奪われる
自分たちの技術が奪われてしまう、と躍起になって機械化を否定する職人は、イケていない職人である。日本の社会に巣食う、自分たちが進化しなくとも仕事がある状態を作り出すために働く人々と同じだ。
辛辣な書き方ですが。まさにその通りだと思います。だからこそ私たちは、機械に代替可能な人間を目指してはいけないんですよね。精密機器を組み立てられるプロや、一点ものを産み出せる作り手を目指さないといけない。
その意味で言えば、どんな人が入り込んでもうまく回る点が最も評価される「大企業」というシステムに甘んじてしまっていたら、イケていない職人になるのは明白です。
自分でなければできないものを産み出せる人間を目指すために、中小企業で大きな経験を積んだり、独立して起業することが一番近道なんです。
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動画にはないテキストの力
私は普段YouTubeなどの動画を見ないのですが、ハマっているゲームの実況動画や攻略動画に関しては、たまに視聴することがあります。○○してみたとか、開封の儀!ってやつですね。
でも、そうした情報って動画である意味ある? っていつも思うんです。開封の儀は別に画像とテキストだけで十分だし、ゲームの攻略動画もテキストに起こしてくれる方が進めやすいですよね。
もちろんお笑いやドキュメンタリーなんかは動画であるからこそおもしろいし、感動するものです。でも、わざわざ動画にして視聴者の大切な時間を奪う必要はないんじゃないかなあと常々思っているところでした。
動画が流行るってホント?
スマートフォンの普及、ネットの進化によって音声や動画コンテンツがもてはやされている昨今ではあるが、本当に動画が便利なのか、というのは疑問だ。
もちろん、動画に適したものもあるだろうが、モノによってはテキストのほうが便利だ。実はテキストの力を侮ることはできない。
ホリエモンもこのように書いています。
便利かどうかで言えば、動画は便利ではないですよね。むしろ不便です。
通信量は増えるし、外出先ではイヤホンをつけるか無音にする必要があります。通常動画の倍速再生はできないですし、目次もありません。興味がある箇所だけ拾い読みする、といったテキストで用いる方法は使えないんですよね。
もちろん、動画のほうが記憶に定着しやすいのは事実です。淡々と教科書を読むよりも、教科書の中身を解説してくれる学習塾の動画のほうが、身につきやすくなりますよね。
そうした例外を除けば、「時間に縛られない点」と「コンテンツを効率よく吸収できる点」に関して、テキストが一番優れているとホリエモンが述べているのも納得できると思います。
メンタリストDaiGoさんの説くテキストの力
メンタリストDaiGoさんの著書「人を操る禁断の文章術」のなかで、DaiGoさんが説く文章の力が書かれています。文章は会話よりも、次のような点で優れています。
・イメージの操作が容易なこと
・書き直せること
・結果を見なおして、微調整できること(テストできる)
また、文章は会話と異なり、半永久的に働いてくれること。メールで同じ内容を大量に送ることができることなども挙げています。
「イメージの操作が容易なこと」は、会話でいう身だしなみやしぐさ、シチュエーションや化粧などを整える手間が不要なこと、と言い換えることができます。
こうしたテキストの力も見過ごしてはいけませんね。何千年もの歴史がある文字と文章の力は、いくら映像技術が発達したとしても超えられるものではないと思います。
そうした文字と文章で発達した人間の遺伝子が受け継がれているからこそ、私は日本語や文章に言葉にできない魅力を感じ、ブロガーやライターを志すようになったのかもしれません。笑
おわりに
ちなみに、ここまで引用した文章はすべて、前半100ページまでの中で選びました。前半は興味深く読めましたが、後半は他の啓発本と似通ってことを書いているのかな、という印象です。
ただ、第4章にあるHIUに関する記述はとても興味深くおもしろかったので、ホリエモンのサロンに入ろうかと悩んでいる人にはきっと役に立つと思います。
テキストの力については、メンタリストDaiGoさんの本も非常に役に立ちます。合わせてどうぞ。
参考文献