感情や思考、妄想にとらわれてしまい、つい心に反応してしまう方は必読。ここではシンプルな「反応しない練習」メニューを紹介します。
目次(2017/08/16更新)
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原始仏教に学ぶ、心の反応を減らす技術
いわずと知れたベストセラー、『反応しない練習』は、わたしの人生を大きく変えてくれた本のひとつです。
原始仏教の合理的な考え方に学び、現代に生きるわたしたちも、ブッダのような生き方を目指そうというのがコンセプト。
タイトルにもある通り、感情や思考に反応しないことを通じて、自分たちの抱える悩みを軽減するメソッドが紹介されています。
たとえば、自分の思考や感情にラベリングを施したり、心によりどころを持つようにしたり。
今回はそうした反応しない練習メニューのなかでも、「体の感覚を意識する」ことについて掘り下げていきたいと思います。
わたしたちの悩みの根源は「心の反応」である
悩みの始まりには、きまって〝心の反応〟があるのです。心がつい動いてしまうこと──それが悩みを作り出している〝たった一つのこと〟なのです。
だとすれば、すべての悩みを根本的に解決できる方法があります。それは──〝ムダな反応をしない〟ことです。
わたしたちが抱える悩みの大元にあるのは、心の反応である。
それが本書の前提となります。
心の反応がないロボットのような存在をイメージしてみると、たしかに悩みなんてないよなぁと思いますよね。
悩みであれ、嫉妬であれ、満たされない心であれ、その原因となるのはひとえに心の反応です。
ならば、その心の反応をなくしていこうというわけですね。
ロボットのような生き方を推奨するものではない
もちろん、感情を持たないロボットのような考え方で生きようと言っているわけではありません。
競争や勝負から下りて、世間から隔絶された場所で過ごそうと提案しているわけでもありません。
あくまでもこの世間のなかにあって、自分の外側を変えるのではなく、内面を変えることで悩みを減らすすることを目指します。
体の感覚に目を向ける
もしあなたが、これ以上悩みを増やしたくない、充実感を大事にしたいと願うなら、テキトーな反応、妄想を減らすことです。そのために「カラダの感覚を意識する」ことを習慣にしてください。
そのために一番有効なのが、この「体の感覚を意識する」という行為なわけです。
悩みはいつも「心の内側」に生じます。だから、悩みを抜けるには、「心の外」にあるカラダの感覚に意識を向けることがベストの方法なのです。
これを何か月か、続けてみてください。アタマがかなりクリアに、シャープに、そして心がすっきりと軽くなっていることに気づいて、うれしくなるはずです。
体の感覚を意識する。すなわちマインドフルネスという状態でもあります。
マインドフルネスについては科学的な効果も認められていて、不安やうつに効果があり、集中力アップにも効くんじゃね?とも言われています。
体の感覚を意識する…と言われても、慣れていないとどうやればいいかわからない場合もあると思います。
たとえば、簡単なもので言えば歩くときに足の裏の感覚を意識する方法。
通勤の際に歩く場面で、足の裏が地面を踏んでいる感覚に注意を向けるということです。
あるいは、目を閉じて耳の感覚(聞こえてくる音)に意識を集中させたり、目を閉じたまま手足を動かして筋肉や関節の感覚に集中したりという方法もあります。
もちろん、呼吸に意識を向けてもOK。
呼吸に意識を向けた場合には、瞑想をしている状態に近くなります。
心の反応との違いを意識する
本書では一歩踏み込んで、妄想を抜ける秘訣を「本邦初公開」しましょう。それは、「妄想している状態」と「妄想以外の状態」とを区別することです。
そうした体の感覚を意識することによってなにをしたいかというと、心の反応(妄想)との区別をつけることを意識したいのです。
たとえば、仕事がうまく進まなくて悩んでいたとします。締切が近いのにやる気がわかなくて、どうしようって苦しんでいたとしましょう。
そんなときに一度目を閉じて、ひたすらその悩み・苦しみに目を向けてください。
次に、パッと目を開いて視界に入ってくるパソコンの画面や、手元の書類、自宅やオフィスの環境に注意を向けてみる。
そして、「これまで頭で考えていたのは、妄想だ」「いま目の前にあるのが、現実だ」と認識します。
こうして、妄想と現実とを意識的に切り替える練習を積むことで、妄想から自由になるクセをつけようということですね。
続けてみるとはっきりとした変化が
こうして、「妄想」と「感覚」の違いを意識しながら、「感覚のほうに意識を集中させる」練習を積んでいくと、「妄想から抜ける」ことが上手になっていきます。
実際に、この体の感覚に意識を向ける練習を続けていると、悩みから抜け出すことがラクになっていきます。(筆者体験談)
頭のなかで考えているだけの妄想と、体が認識している感覚とがはっきりと区別できるようになるので、
「あ、また妄想してた。いかんいかん。体の感覚を意識しよう」
と気づけるようになるわけですね。
こうなると悩みや苦しみから自由になれます。
劣等感や嫉妬、焦燥といったネガティブな感情のほか、漠然とした不安にも対処できるようになります・
「そんなモヤモヤした不安はただの妄想だ。目の前の現実に集中するぞ!」
と考えられるわけです。
快の気持ちには、積極的に反応していこう
逆に、自分の気持ちを盛り上げてくれる「快の反応」は、意識してやってみるとよいのです。「面白いぞ」「頑張っているぞ」と、ポジティブな反応をします。
ちょっと意外な点ですが、わたしたちの抱えるすべての感情に反応してはいけない、というわけではありません。
反応してはいけないのは、あくまでも負の感情。不快な反応、ネガティブな考えと言い換えてもいいでしょう。
自分を元気づけてくれるポジティブな感情には、積極的に反応していこう、と本書では述べられています。
楽しい!うれしい!おもしろい!すごい!やったぜ!
そんな感情には素直に反応して、前に進むエネルギーにしようということですね。
むしろ、そうしないと冒頭で書いたような、ロボットみたいな人間になってしまいますんで。
まとめ
ここで取り上げたのは、体の感覚を意識する、ということのみでした。
本書ではほかにも、原始仏教の教えにのっとった合理的な考え方が多く紹介されています。
単に文章だけを書き連ねている本ではなく、ところどころのポイントでは箇条書きを挟んで理解を助けてくれるので、とても読みやすいタイトルとなっています。
ただ、情報量が多いので1回読んだだけでは混乱してしまい、実生活にはすぐに活かせないかもしれません。
そんな場合にも、まずは「体の感覚を意識する」というシンプルな行動原則だけを使ってみてください。
悩みや苦しみが軽減され、よりラクに生きられるようになることは、本書を繰り返し何度も読んだわたしが保証します。
なお、こちらの『反応しない練習』にはオーディオブックとして聞けるAudible版も用意されています。
暇な時間や通勤時間には、こちらのオーディオブックを何度も聞いて、本書の考え方を100%身につけることがおすすめ。
『反応しない練習』の考え方を実生活にも応用できるほど身につけたら、同じ著者の『これも修行のうち。』もおすすめです。
こちらもAudible版があるので、ぜひとも聞きまくりましょう。