私たちがなにかを決めるとき、感情やプライドなどがジャマしてくることがあります。
こうした意思決定をジャマする「バイアス」と、バイアスに対する対応策が『決定力!』で紹介されています。
今回はそのなかで紹介されている4つのバイアスについてまとめます。
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1.視野の狭窄
視野の狭窄とは、選択肢を狭めすぎ、意思決定を白か黒かで見てしまう傾向のことだ。
第一のバイアスは、「視野の狭窄」です。
わかりやすくいえば、1つか2つの選択肢しか目に入らず、広い視点でものを見ることができない状態のことであります。
たとえば、高校生の頃私たちは「どの大学に進むか」という視野の狭窄に陥ってしまいます。
そうではなく、「どんな人生を送りたいか」という広い視野を持って、大学に進学するか、それとも就職したり起業したりするかを決めるべきです。
この視野の狭窄に陥らないためには、「もしこの選択肢がダメだったら」と考えるのがおすすめです。
「もし大学に進学しないとしたら」と考えると、「そもそも自分はどんな人生を送りたいのか」という本質的な問いにたどり着けるかもしれません。
2.確証バイアス
私たちは生活の中で、ある状況について直感的に信念を抱いたあと、その信念を裏づける情報を探すという習慣がある。
第二のバイアスは、「確証バイアス」です。
誰にでも経験があると思いますが、私たちが「この製品がほしい!」と一度思ってしまうと、製品に対するメリットばかりを集めてしまい、デメリットにまったく目を向けなくなってしまいます。
「自分の意見が正しい!」と考えてしまうと、周囲のアドバイスや反対意見がまったく耳に入らなくなってしまうのと同じですね。
これを防ぐには、人間には確証バイアスをおこしてしまう性質がある、と頭で理解しておくことが大切になります。
そのうえで「本当にこの製品はすぐれているのか?」「本当に自分の意見は正しいのか?」と自問するクセをつけましょう。
そうすれば確証バイアスにとらわれることなく、より客観的に情報を集め、選択肢を評価できるようになるでしょう。
3.一時的な感情
難しい決断に直面すると、感情が揺さぶられる。思考が堂々めぐりする。状況について悩む。毎日のように心変わりする。
第三のバイアスは、「一時的な感情」です。
名前の通り、そのときの感情によって冷静な判断ができなくなってしまう現象をさします。
ポジティブなときはつい買い物しすぎてしまったり、ネガティブなときは過剰に保守的になってしまったりと、このバイアスは直感的にもわかりやすいでしょう。
このバイアスに陥らないためには、「自分と距離をおく」ことが大事になってきます。
具体的には、「親友にアドバイスするならなんていう?」と考えることがおすすめです。
このまま仕事を続けるか転職するか悩んだとき、「もし親友が同じように悩んでいたらどうアドバイスするか」と考えるわけです。
こうすると2つの選択肢を客観的に見つめ直すことができるので、「あ、いま一時的な感情で判断しようとしてたな」と気づけるようになるでしょう。
4.自信過剰
私たちは自分が実際以上に未来予想に長けていると思っている。
第四のバイアスは、「自信過剰」です。
ある調査によると、医師たちが自分の診断が「100%正しい」と確信している場合にも、全体の4割は間違っていた…なんて話があります。
あるいは、大学教授の94%が「自分は平均以上の働きをしている」と回答したデータもあるそうな。
これは考えてみればあたりまえで、「自分の判断は間違っているかもしれない」「自分は平均以下かもしれない」なんて誰だって思いたくないですもんね。
この自信過剰バイアスに陥らないためには、「もし予測を間違ったとしたら」という思考が有効です。
「もしこのパソコンを買ったとして、1年後不満に思うとしたらどの部分だろう?」と考えるわけです。
そうすれば「動作が遅くなるとイヤだからもう少しメモリーを増やしたほうがいいかな」「画面が小さいとストレスが溜まりそうだから、15インチのノートパソコンを買おう」というように、間違った選択を防ぐことができます。
ちなみにこれは、心理学者ゲーリー・クラインによる「事前検屍」というテクニックの応用であります。
まとめ
- 「視野の狭窄」を防止するためには、「もしこの選択肢がなかったら」と考える
- 「確証バイアス」を防止するためには、バイアスの存在を念頭においておく
- 「一時的な感情」を防止するためには、「親友にアドバイスするとしたら」という視点で考える
- 「自信過剰」を防止するためには、最悪の結末から逆算して選択する
以上、『意思決定をジャマする4つのバイアス(偏見)に気をつけようby『決定力!』』という記事でした。
『決定力!』は、私たちの意思決定の精度を高めるために役立つ良書です。
翻訳はやや堅いですが、章ごとにまとめページがあったり、「はじめに」部分に全体の要点がまとめられていたりと、非常に読みやすい構成です。
読書の時間が取れない人は、この「はじめに」だけ熟読するだけでもじゅうぶんな価値があります。
ここで紹介したそれぞれのバイアスに対する対応策も、より詳しく紹介されています。
日頃の意思決定をよりよいものにしたい方は、ぜひ手に取ってみてください。
なお、より安価な文庫版も発売しています(ただしこちらはKindle版なし)。