心理学の研究で有名な「マシュマロ実験」というものがあります。
この実験では、ごほうびを我慢し、快楽を先延ばしできる子どもほど将来成功しやすくなるとされています。
この「ごほうびを待てるかどうか」にまつわる「時間割引率」が今回のテーマです。
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1.時間割引率が低いと成功しやすい
心理学や経済学の分野では「時間割引率」って言葉があります。
簡単に言うと「どれくらい待てないか」の度合いを示すもので、割引率が高いほど待てず、割引率が低いほど待つことができるとされます。
時間割引率が高い人ほど目先の快楽・報酬を望む傾向が強く、時間割引率が低い人ほどごほうびを後回しにしてより大きな利益を得られるとされています。
時間割引率が高い人は、タバコや酒・ギャンブルといった依存性のあるものごとに手を出しやすいという相関関係があるとわかっています。
「時間割引率が高いから中毒性の高いものに手を出す」という因果関係ではないものの、これは私たちにも納得できる話でしょう。
私も時間割引率がかなり高めの人間ですが、目先の欲求を我慢し、長期的な視点で自己投資などに励む「時間割引率の低さ」が人生で成功を収めるためのキーポイントになるはずです。
2.高い時間割引率の扱い方
とはいえ、自分が時間割引率の高い人間だからといって、成功できないわけではありません。
その高い時間割引率を逆手にとって、利用してしまえばいいのです。
「目先の利益や満足をつい優先してしまう」ということは、裏を返せば「目の前にご褒美をぶら下げられると、今、勉強することの利益や満足が高まり、それを優先する」ということでもあります。
つまり、ごほうびで自分を操ってしまえということですな。
仕事や勉強でも、「この作業が終わったら10分だけゲームをしよう」とか、「今日の勉強が終わったらポテチを1袋食べてOK」なんてごほうびを設定すれば、モチベーションを高めることができます。
将来役に立つ自己投資、たとえば勉強や読書に取り組むやる気が出ないときには、自分で自分に報酬を設定してみましょう。
3.時間割引率を低くするために
時間割引率が低い人の例として、これまで長い人生を歩んできた年長者があげられます。
おじいちゃんやおばあちゃんをイメージすると、「目先の欲求を優先してしまう」という傾向があるようにはあまり思えませんよね。
事実、人の時間割引率は年を重ねるとともに低くなっていく、といわれています。
「高齢者はせっかちにならず、気長に待つことができる」というのも、この年の功がなせる技なのでしょう。
ほかにも経済的余裕がある人、教養を備えた人の場合には、目先の欲求よりも長期的な目標を見据えた行動ができるのだそう。
経済的な余裕をつくりだすのは難しいですし、年を取るのを待つってのも現実的ではありません。
私たちが時間割引率を低くし、成功しやすい人間ににあるためには「教養を身につける」というのがいちばん望みがありそうです。
ほかにも自制心や意志力を鍛えたり、目先の欲求を優先しないシステムづくりに取り組むのもいいかもしれません。
まとめ
- 「時間割引率」が高い人ほど、報酬や快楽を待つことができない
- 時間割引率の低さが、長期的な視点で行動させ、人生で成功をもたらすはず
- 時間割引率が高い人は、それを利用して「ごほうび」によるモチベーションで自己投資に取り組もう
以上、『目の前のごほうびに飛びつかないよう「時間割引率」を抑えるべし』という記事でした。
なお今回の出典は『「学力」の経済学』でした。
子どもの学力を伸ばすための方法を説いた本ですが、同書の内容は自分自身の能力を伸ばすことにも当てはめられると思います。
子どもを育てる立場にある人はもちろん、そうでない人も読んでおいて損はないでしょう。