私はニコニコ動画の最盛期後半をリアルタイムで経験していた世代でして、ボカロ曲や「歌ってみた」シリーズを毎日のように聴いていた時期がありました。
当時はJPOPをまったく聴いていなかったもので、大学生になってから周囲の友人との音楽についての話についていけず、困ったのもいい思い出です。
大人になって今考えてみると、私がボカロにハマった理由は「JPOPを聴く生産性の低さ」によるものではないか、という仮説が成り立ちます。
- 1.ボカロばかり聴いていた中高生時代
- 2.大学に入学後、困った事態に
- 3.なぜ当時ボカロにハマっていたのか?
- 4.なぜ現在ではボカロを聴かないのか?
- 5.JPOPの入手性が高まったことにより、ボカロは衰退するのでは?
- まとめ
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1.ボカロばかり聴いていた中高生時代
個人的な話ではありますが、私は中学生後半から高校生前半にかけて、ボカロを毎日のように聴いていた時期がありました。「メルト」がニコニコ動画にアップされた時期に重なり、ボカロの最盛期を迎えた頃だったように思います。
とはいえ、私はボカロを聴く友達がいたわけではありませんでした。むしろオタク趣味のことは学校では隠しておりまして、ネット上でボカロを聴く友達をつくって楽しんでいた…というイメージです。
なので学校の友達は、みんなJPOPを聴いていた記憶があります。「安室奈美恵のアルバム買ったの?」「うん」「マジで?貸して〜」「いいよ〜」みたいな会話が頭の上で交わされているのを聞きつつ、それ誰だっけ?状態でひとりボカロを聴いていたものでした。
2.大学に入学後、困った事態に
そんなオタク趣味を経験しながら、大学デビューを目指した私。当然音楽についての話がかみ合わず苦労することになります。たとえば、サークルみんなで行くカラオケ。ボカロとごく一部のJPOPしか歌えないので、私が歌うときはいつもみんな興味なさげでした。悲しいことに。笑
「大学ではオタク系のサークルに入ればよかったのに」とは思うんですが、当時はリア充したい!って気持ちが強くて、大学に入ってできた友達といっしょに、いわゆるテニサー(飲みサー)に参加。
徹夜して飲み会をしたり、ぐでんぐでんになるまで酒をあおったりと、無茶をした時期でもありした。まあそんな前置きははどうでもよくってですね…。
大人になった今、「なぜ中高生時代にボカロにハマったのか?」と考えてみると、「入手のしやすさ」が一番の原因ではないか、と思うようになったのです。
3.なぜ当時ボカロにハマっていたのか?
当時はまだApple Musicはリリースされていませんでしたし、Amazon MusicやLINE MUSICなんかもありませんでした。YouTubeは当時から流行っていましたが、そうした場で音楽を聴くと「著作権的にどうなの?」って気持ちがあって、あまり利用せず。
となると純粋にJPOPを楽しむためには、CDを買うなり借りるなりして、かなり手間をかける必要があったわけです。音楽を楽しむためだけにリアルな店舗に行って、CDを買ったり借りたりして、さらにiPod的なものに同期する。
そんな手間をかけてJPOPを聴くのって、すんごくめんどくさいなって思ったんです。しかもお金もかかるし。
一方で、私が出会った「ボカロ」は、ニコニコ動画でフル音源が聴けます。ネット回線さえあればすぐに聴けて、無料で、さらにリピート再生にも対応。YouTubeによくある「一番だけ無料で聴ける」みたいなめんどくさい縛りもありません。
当時からネットに詳しかった私としては、自然な流れとしてより手間がかからずに聴ける「ボカロ」を、JPOPより優先して楽しむようになったわけであります。
要するに、当時ボカロは「入手しやすさ」にすぐれていた、ということです。CDを買ったり借りたりしてめんどくさい手順を踏まないと聴けないJPOPよりも、ニコニコ動画で1クリックで聴けるボカロの方が、ずっと手軽でめんどくさくない方法でした。
4.なぜ現在ではボカロを聴かないのか?
翻って現在の自分をみてみると、まったくといっていいほどボカロを聴かなくなりました。多感な中高生の時期に聴いていたってこともあり、「メルト」とか「千本桜」とか「Just Be Friends」とかを耳にすると、うおおお懐かしい!!!ってなりますが、積極的に聴こうとは思わなくなりました。
なぜか。
それは、先に紹介したApple MusicやAmazon MusicやLINE MUSICなど、定額制の音楽聴き放題サービスが登場したからであります。つまり、JPOPも「入手しやすさ」がグンと上がったということです。
ニコニコ動画で1クリックするのと同じくらいの手間でJPOPをひたすら聴けるとなれば、誰が作曲したのかわからない素人がつくった音楽よりも、プロの手が入ったJPOPを楽しむ方が、音楽を楽しむ生産性は高いのが当然です。
入手しやすさがボカロもJPOPも同程度になった結果、「ならばプロがつくった方を…」と、私はJPOPをよく聴くようになったということですね。ちなみに現在は、Amazonプライム特典に含まれるAmazon Musicを無料で利用し、ヘビーユースしております。
Amazon Musicの詳細は↑からどうぞ。
5.JPOPの入手性が高まったことにより、ボカロは衰退するのでは?
定額制音楽聴き放題サービスが登場したことにより、従来はCDを買ったり借りたりするか、またはiTunesで1曲ずつ1枚ずつ買わないといけなかったJPOPが、月額1000円もしない手軽さで聴き放題になりました。
また、iPhoneアプリのなかには無料でJPOPを聴けるアプリも出ているようで、むしろニコニコ動画でボカロを聴くよりも、アプリでJPOPをダウンロードする方が手っ取り早かったりもします。
こうしてJPOPの入手しやすさが高まったことにより、私のような「手軽だから」という理由でボカロを聴いていたユーザーは、今後生まれなくなると予想されます。もちろん、純粋に「ボカロが好きだから」という理由で、ボカロを聴き続ける人は残るでしょう。
でも、「CD買ったり借りたりするのめんどうだから、ニコニコ動画で無料で楽しめるボカロを聴こう」というユーザーは、今後出てこなくなるはずです。手軽さを重視してボカロを聴いていたユーザーが、ボカロを楽しむユーザー全体のどのくらいを占めるのかはわかりませんが、それほど少なくないんじゃないかと私は予想しております。
であれば、ボカロの市場は将来縮小していくことが考えられます。もちろんボカロにもいい曲はあるけど、それを聴くよりも、アプリで有名アーティストの音楽を聴いた方が生産性が高いから。
ちなみにライターとして仕事をする私のもとには、ボカロを中心とするサブカル系の仕事が来ることもあります。でもここで述べてきたような将来性を考えると、そうした仕事はあまり引き受けない方がいいのかなと思ったり。
独りよがりな大胆な予測ではありますが、今後は定期的にボカロ界隈の動向をチェックしてみようかと思ったのでした。
まとめ
- 2000年代後半にボカロを聴いていたのは、JPOPよりも「入手しやすさ」が高かったからでは?
- 定額聴き放題サービスや、無料アプリの登場により、JPOPの入手しやすさも向上
- 素人作品よりもプロの楽曲の方を好むはずなので、今後ボカロ市場は縮小していくのでは?
というわけで、ボカロにまつわる個人的なお話と、今後のボカロ市場の予測について述べてきました。まあ、データにもとづく予測というレベルではなく、個人的で主観的な予想って感じですけど。
こんなことを書いていたら、また昔のようにボカロを聴きたい気分になってきました。「モザイクロール」とか「マトリョシカ」とか「ロミオとシンデレラ」とか大好きでしたからねえ…。
願はくは、今後も永遠にボカロ曲が残ってほしいものです。ニコニコ動画さんがんばって!
以上、『私が中高生の頃、「ボカロ」で音楽を楽しむのが一番生産性が高かった』という記事でした。