2005年発売のベストセラー本『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を読みました。本書のなかで紹介されている「在庫は罪庫」って話がおもしろかったので、個人でも在庫=モノを減らすことは大事だよねってテーマをまとめていきます。
SPONSER LINK
1.在庫を持つメリット
会社でも個人事業主でも、在庫がなければ利益を出すことはできません。お客さんに売るモノがなければ売り上げが立たず、赤字になってしまうのは当たり前のことです。
ここでいう在庫っていうのは、小売業でいう商品だけでなく、広い意味での「経費」と考えてもよろしいかと思います。たとえば私のようなライターだったら、パソコンや本、セミナー代、なんかが経費となります。
たくさん経費をかければかけるほど、よりたくさんの情報をインプットできます。最新の設備があれば効率的な事業運営にもつながるでしょう。
2.在庫を持つデメリット
しかし、過分な在庫はさまざまなデメリットをもたらします。食品であれば賞味期限を迎えてしまうリスクがありますし、アパレル関連なら時代遅れの洋服が山積みになってしまいかねません。
また、自分で在庫を抱えるということは「破損のリスク」や「盗難のリスク」も自分で背負うということでもあります。万が一商品が破損したり盗まれたりしても、それが取引先の倉庫にあるものだったら自分には影響がありません。
しかし、自分が持っている商品が売れなくなってしまえば、損失をダイレクトに被るのは自分。ほかにも在庫を管理するための人件費や場所代といったコストものしかかってきます。
商売をするにあたって在庫は少ないほうがよいのだ。「在庫は悪だ」と言い切ってもいいくらいだ。
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』では、ここまで断言されています。
3.個人の家庭にある「在庫」とは
ここまでは事業を営む会社や個人事業主を例に解説してきましたが、個人の家庭でも「在庫」のメリット・デメリットは当てはめることができます。
たとえば日用品という在庫がなければ、私たちは最低限の人間らしい暮らしができなくなります。食器や調理器具がなければ食事がままならず、洗剤やトイレットペーパーがなければ衛生環境が悪化してしまうでしょう。
ですので、必要最低限の在庫は個人の家庭でも用意しておくべきです。しかし、そうした在庫があふれて「ストック」になってしまうと、一気にデメリットが多くなります。
モノを置く場所がたくさん必要になり、生活スペースが縮小した結果「もっと大きな家に住みたい」という見当違いな願望が生まれます。モノが多ければホコリが細かなところにも積もるので、掃除にかかる時間も膨れあがっていくでしょう。
個人の家庭にある在庫はこれだけではなくて、「いつか使うかも」とずっと持ち続けている不用品も悪しき在庫のひとつです。人間には一度入手したものを手放す時に大きな痛みを感じる生き物ですので、「なにか役に立つはず」「もしもの時に備えて」と思いたくなる気持ちはわかります。
でも、そうやって在庫を増やしていけば、食べ物のストックは腐ってゴミになり、洋服は時代遅れで着られなくなり、雑貨や小物類は故障・紛失するリスクを自分で背負わないといけなくなります。
モノが部屋の10分の1のスペースを占めるなら、家賃の10分の1をモノを置くためだけに支払っているようなものです。もし10分の1のスペースのモノがある狭い部屋でも快適に過ごせるのであれば、今よりも狭く安い部屋でもストレスなく生活できることでしょう。
4.モノを減らすためのテクニック
「じゃあどうやってモノを減らしたらいいの?」というのが多くの人の悩みであり、最近断捨離本やミニマリストブログが流行る理由なのでしょう。私の考えはシンプルでして、「旅行に行くつもりでモノを選ぼう」という基準だけです。
つまり、「旅行に行く時、これは持って行くか?」と考えることにより、最低限の在庫と過分な在庫とを見極めよう、ってことですね。旅行に行くつもりで荷造りをしてみて、「これはトランクのなかには入れないな」と思えるものがあれば、それは処分してもいいモノ。
10枚も20枚もタオルがあってもかさばるだけですので、毎日洗濯するとして2〜3枚のタオルがあれば、じゅうぶん旅行に行けます。着替えも2〜3セットあれば長期の旅行にも対応できるはず。だったら、それ以上のタオルも着替えも必要ないよね、ってことで処分する第一候補となるわけです。
5.「罪庫」を減らし、身軽に暮らそう
そもそも、現代であれば日本全国どこへ行っても、コンビニや100円ショップがあります。Amazonを使えばあらゆるモノが1クリックで翌日配達してくれます。最近では、クルマや住まいのほかにも、カメラやキャリーバッグ、礼服なんかもレンタルで使えるサービスが充実してきました。
年に1回しか使わないものは、レンタルですませばいいのです。わざわざ自分で所有して、何種類ものリスクを背負う必要はありません。
ちなみに、会計の世界では「在庫は罪庫(ざいこ)」なんていわれるんだとか。それだけ在庫を持つことはよろしくないことなのでしょう。私も以前、メルカリを使ったせどり(転売)をしていたことがあるのでよくわかります。
私たち個人の家庭でも、できるだけ在庫=モノを減らし、身軽な生活を目指しましょう。持ち物が少なくフットワークが軽ければ、これからどんな出来事が身に降りかかってきても柔軟に対応できます。
毎月の生活費を減らして質素に暮らすことも、身軽な生活に貢献してくれます。毎月の支出が少ないってことは、働きすぎなくても快適に暮らせるってことですし、少しの貯金で1年、2年と無収入で暮らせるってことでもあります。
劣悪な環境で消耗してしまう前に、気軽に転職して新たな職場を探しやすくもなるはずです。「罪庫」を減らし、自由に暮らしましょう!
まとめ
- 在庫がなければ利益を生み出せないが、在庫が多ければ人件費・場所代・破損リスク・盗難リスクなど多くのデメリットを抱えることになる
- 個人でも「ストック・不用品」などの在庫は、デメリットしかもたらさない「罪庫」となる
- モノを減らし、支出を減らして、リスクから自由な生き方を手に入れよう
というわけで、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』をもとにしたミニマリスト的な話を紹介してきました。会計的な視点で見ても、やっぱりモノを持たず、支出を最低限にするミニマリストの暮らしは合理的だよなあと思います。
極端なミニマリストは窮屈な思いをするだけでしょうが、モノは少ないに越したことはありませんし、支出も小さければ小さいほど気分が楽です。
あんまり肩肘張らずに、「身軽になろう!」というモチベーションで断捨離・節約に取り組んでもいいんじゃないかと思います。
過分なモノや収入に縛られず、自由に生きましょー!
以上、『在庫は「罪庫」だ!家庭でもモノ=在庫を減らし、リスクを減らそう』という記事でした。