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しょっぱいお菓子と甘いお菓子を交互に食べる人の心理学

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「今日はお菓子パーティをしよう」と思うことがよくあります。数百円のお菓子をパーっと買ってきて、アニメをみながらお菓子をつまみながら1人パーティをするのです。

そんなときには「しょっぱいお菓子」と「甘いお菓子」をバランスよく食べたくなります。これには経済学者がいう『限界効用逓減』という法則が働いています。

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1.限界効用逓減の法則とは

好きな人や憧れの人と恋愛関係になったとき、人は非常に大きな幸せを感じます。しかし、その幸せは長続きしないもので、1年経ち2年経ち、3年経つころには、その人の存在にあまり幸せを感じられなくなってしまいます。

いわゆる「慣れ」とも呼ばれる現象ですが、これを経済学用語では「限界効用逓減の法則」といいます。

「効用」ってのが満足度や幸福度、つまりアプトプットのこと。 「限界」はインプットのことと考えておけばOKです。「逓減」はだんだん少なくなっていくことをさす言葉。

要するに、恋愛関係(=限界)から得られる満足度や幸福度(=効用)は、時が経つにつれて次第に少なくなっていくよ(=逓減)とイメージすればわかりやすいでしょう。

2.ビールは1口目がいちばんうまい

この法則については、名前を知らなくとも似たような表現に出会ったことが少なからずあるはずです。たとえば、「ビールは1口目がいちばんうまい」みたいな。

私はお酒が飲めないのであまり共感できる言葉ではないんですが、夏場に飲むキンキンに冷えたビールの1口目は、たしかに代えがたいものがあるのでしょう。私も、暑い日に飲むサイダーやコーラの味は格別だよなって思います。

これも限界効用逓減の法則が当てはまる例でして、ビールから得られる満足度や幸福度は、2口目、3口目と量が増えるにつれて減少していってしまいます。ビール1杯目の1口目は、ビール2杯目の2口目と同じだけの快楽を感じるかといえば、そうはならないでしょう。

3.しょっぱいものを食べ続けると…

私はこの限界効用逓減の話をごく身近でも感じる機会がありまして、それがお菓子についてのエピソード。

我ながら子どもじみていて恥ずかしいなとは思うんですが、私は定期的に1人お菓子パーティを開いておりまして、近所のスーパーでまとめ買いしたお菓子を、ジュースとともにアニメをみながら楽しむ…ってのが月1回の楽しみだったりします。

同じような経験をする人ならわかると思うんですが、お菓子をパーっと買ってパーっと食べようと考えている時には、「しょっぱいもの」と「甘いもの」のバランスを考えながら商品をチョイスするものです。

ポテチ・ポテチ・ポテチではなく、ポテチ・チョコ・ポテチみたいな。

「なぜこんなことをするんだろう?」と、どうでもいいことに疑問を持った私は、「そういえばこの前読んだ本の限界効用逓減の話に通じるものがありそうだな」と考えました。

つまり、ビールと同じでお菓子も、袋を開けて1口目がいちばんおいしく感じる瞬間で、2口目、3口目とだんだんと満足度が低下していくんだろうな、と。しょっぱいものをずっと食べ続けていたら、ポテチの味や食感で楽しみを感じられなくなっていくのでしょう。

4.甘いお菓子を挟むと満足度が向上する

しかし、途中で甘いお菓子を挟むとどうでしょう。しょっぱいものを食べ続けていた口の中が、甘いお菓子のマイルドさでリセットされ、かつ1口目のお菓子の甘さで最高の満足度を得ることができます。

2口、3口と甘いお菓子を食べ続けていると、こちらもだんだん甘い味に慣れ、楽しみを感じられなくなっていくものです。同じ味ばかりだと飽きてしまいますからね。

そこでまたしょっぱいお菓子を口に頬張ると、袋を開けた直後の1口目よりは1枚落ちるかもしれませんが、やはり高い満足度を得られるはず。

知らず知らずのうちに私たちは、お菓子から得られる満足度を最大化するため、合理的なお菓子選びや食べる順序をとっていることがわかります。「今日は1000円まで」と予算を決めてお菓子を買う際にも、限界効用逓減の法則にしたがって、いちばん楽しみが大きくなる買い方をしているんですね。

5.収入や貯金にも当てはまる

ところで限界効用逓減は、本来はもっと真面目な場面で活用される法則です。

たとえば、お金や収入についてもおもしろい話があります。もし年収300万円の人が年収1000万円にアップしたとしたら、かなり大きな幸福を感じるでしょう。しかし、年収300億円の人が、年収300億700万円に増えたとしても、あまり喜びは感じられないものです。

『ファスト&スロー』の著者であり、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者として有名なダニエル・カーネマンがおこなった研究では、年収7万5000ドルまでは年収が増えるにしたがって幸福度が増大するが、それ以降は年収と幸福度は比例しない、というデータもあります。

とはいえ、難しい経済用語も身近な問題として考えれてみれば、ストンと理解できるものです。こうした満足度・幸福度に関わる研究をもっと知れば、より幸せな人生を送ることができるはずですしね。

今回のようなテーマが好きな方は、経済学と心理学がミックスした「行動経済学」についての本を読んでみるといいかもしれません。

まとめ

  • モノや感情から得られる喜びは、次第に慣れて薄れてしまうことを定義した限界効用逓減の法則
  • 「ビールは1口目がいちばんうまい」も、この法則の代表例
  • 行動経済学の知見を活用して、より幸せな人生を歩もう

というわけで、経済学の用語を具体例とともに紹介してきました。満足度を最大化するって意味では、「しょっぱいお菓子と甘いお菓子を交互に食べる」というのも合理的な行動なんですね。

最近は忙しくて1人お菓子パーティができていなかったので、近いうちにまた開催しようと思います。

以上、『しょっぱいお菓子と甘いお菓子を交互に食べる人の心理学』という記事でした。

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