ぐずぐずと先延ばしせず、期限よりも早めに課題を提出したり、仕事を終えたりすると気持ちがいいものです。逆に〆切直前に寝不足の頭で作業に取り組むのは、すごく苦痛でイヤになってしまいます。
しかし、〆切前にならないとモチベーションがあがらない人も少なくないでしょう。そこで今回は、『幸せな選択、不幸な選択』で紹介されている「少数の法則」にて、やる気を引き出す効果的な方法を学びます。
- 1.「80%達成」よりも「残り20%」
- 2.「残り80%」よりも「20%達成」
- 3.『少数の法則』がやる気アップにつながる理由
- 4.家庭や職場でも効果あり?
- 5.1人で取り組む仕事や勉強に応用してみよう
- まとめ
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1.「80%達成」よりも「残り20%」
あなたがいま〝目標へ向かう旅〟のどの地点にいるとしても──あるいは明確なスタート地点とフィニッシュ地点のある目標に取り組んでいるとしても──〝少数の法則〟に従えば目的地に到達できるということを示す証拠がある。
要するに、〝 20 パーセント達成〟という表現はやる気を引き起こしてくれる。〝残り 20 パーセント〟も同様だ
8割がんばった!だと気を抜いてしまいそうですが、あと2割だけ!ならラストスパートがんばろうって思えます。ごく小さな違いですが、考え方を変えることによりモチベーションアップにつなげることができる好例です。
宿題を8割方終えたことに安心して、テレビを見たりマンガを読んだりしてしまう。寝る直前になって宿題が全部終わってなかったことに気づいて、夜更かしして宿題を終わらせる…。そんな経験をしたことがある人も少なくないでしょう。
2.「残り80%」よりも「20%達成」
また、あと8割残ってる!と思うとげんなりしてしまいますが、2割進めた!と考えれば進歩を実感できるものです。数学の問題10問中2問までとき終えたタイミングでは、「残り8つもある」と考えるよりも、「2つ終わらせることができた!」と考えたほうがやる気アップにつながるでしょう。
韓国人の学生を対象にしたある研究では、先に紹介したように「残り20%」「20%達成」のように課題の進捗を伝えられた場合には、休憩からより早く戻って課題を再開したそうな。「80%達成」「残り80%」という伝え方をした学生よりも早く課題に取りかかったそうです。
このように、今自分がいる地点から「どれだけ達成したか」「あとどれくらい残っているか」をチェックする際には、より少ない数字の方を意識すると、やる気がアップするという法則があります。これが『少数の法則』です。
3.『少数の法則』がやる気アップにつながる理由
なぜ少ない数字を意識するだけでモチベーションがアップするのか。『幸せな選択、不幸な選択』で紹介されている少数の法則のもとになっている論文を読んでみると、
より小さな数字に注目することで、スピーディに前に進んでいる錯覚をもたらし、それがモチベーションになる。
ということが書かれています。*1
たしかに、「残り80%」よりも「20%達成」の方が前に進んでいる実感は大きい気がします。「80%達成」よりも「残り20%」の方が、もう少しで終わる!という気持ちが強くなりそうです。
要は、少ない方の数字を意識すればいいのでしょう。すると前に進んでいる感覚が得られ、それがやる気につながる。直感的にも理解しやすい話です。
4.家庭や職場でも効果あり?
この少数の法則を応用すれば、職場での課題・プロジェクトにもいい効果を及ぼしそうです。たとえば、チームで取り組んでいる仕事の進捗管理で、少ない方の数字を強調するようにすれば、前に進んでいる感覚のおかげでメンバーの生産性がアップするかもしれません。
家族みんなで長距離のドライブに行くときにも、2時間のうち「まだ1時間30分走らないと」と考えるよりも、「30分も経過した!」と考えるほうが、楽しみを維持できるんじゃないでしょうか。
2時間のうち「出発から1時間30分経った」と考えるよりも「あと30分で着く!」と考えたほうが待ち遠しくなりますよね。
5.1人で取り組む仕事や勉強に応用してみよう
もちろん、1人で取り組む作業にも使えるはずです。仕事の量が「8割終わった」と考えるよりも「あと2割だけ!」と考えたほうが、油断せず最後まで集中して作業に取り組めそうです。
一方で、仕事に取り掛かったばかりの頃は「あと8割残っている」ではなく「もう2割終わった!」と考えたほうがよいでしょう。完了した割合と残りの割合のうち少ない方に意識を向けることで、スピーディに作業が進んでいる感覚が得られ、やる気につながるはずです。
よくよく考えてみると、私も似たような考え方を無意識にやっていたような気もします。たとえば5個の仕事があったとして、1〜2個の仕事が終わるまでは「もう1〜2本やったぞ!」というメンタリティですし、4〜5個目の仕事に入れば「あと1〜2本で終わるぞ!」という意識で仕事を進めていました。
少数の法則という専門用語は知らなくても、知らず知らずのうちに実践している方も少なくないんではないかと思います。これからもこの法則にしたがって、上手にやる気を引き出しながら課題に取り組みたいですね。
まとめ
- 「80%達成」よりも「残り20%」、「残り80%」よりも「20%達成」の方がやる気アップ
- その理由は、よりスピーディに前進できているような気がするから
- 仕事や作業の進捗を管理するときには、このように少ない数字に注目するといいかも
というわけで、自分やチームのモチベーションアップに役立つ「少数の法則」について紹介してきました。出典論文のタイトルは"The Small-Area Hypothesis"。直訳すると「小領域仮説」となりましょう。
「少数の法則」または「小領域仮説」に興味があって英語が読める方は、元の論文を読み込んでみてはいかがでしょうか。
なお、同じ読み方の専門用語に「小数の法則」ってのがあります。これは、「大数の法則」と対になって使われる用語であり、今回紹介した「少数の法則」とはまったく別物であります。紛らわしいですがご留意ください。
以上、『「80%達成」よりも「残り20%」の方がやる気アップする『少数の法則』とは』という記事でした。