「幸福」について当ブログではいくつかエントリーを書いてきましたが、今回はちょっと違ったアプローチで「幸福な記憶」について扱いたいと思います。
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1.幸福な思い出とは
「いい旅行だった」「楽しいドライブだった」と思えるような思い出って、少なからず楽しかった瞬間の思い出があるはずです(ドライブの帰りに見た夜景がキレイだった…みたいな)。
逆に、「あのイベントは台無しだった」「行かなきゃよかった」という思い出には、不快な思いをした瞬間の思い出が想起されるはず(道が混んでて3時間も待った…など)。
こうした思い出に共通するのは、「体験の長さは関係ない」ということです。その思い出が幸福かどうかを決める要素は、ピークとエンド。すなわち一番強烈な記憶と、一番最後の記憶によるのであります。
2.ピークとエンドが強い記憶に
この「ピーク・エンド効果」ってのは、主に恋愛テクニックで用いられる心理法則であります。デートで一番大事なのは、女の子を感動させるようなサプライズと、別れ際の感情だよ、ってわけです。
もちろんこれも間違いではありませんが、ピーク・エンド効果はもっと個人的な幸福にもつなげることができます。「ああ、今日もいい1日だった」と満足感を得る際にも、ピークとエンドを意識するテクニックが有効です。
たとえば、1日の最後に大好きなことをする、とか。もし今日仕事が大変で、上司にも叱られ、自宅でもストレスばかり…なんて日だったとしても、就寝前に大好きな本を読んだり愛する人といっしょに過ごすことができれば、「なんだかんだでいい1日だったかも」と思えるはずです。
3.体験の長さは無関係(持続期間の無視)
「ピーク・エンド効果」について注目したいのは、その体験の長さは幸福とは無関係であるということ。1週間かけてヨーロッパを旅行した楽しい思い出よりも、もしかすると3時間の恋人との時間のほうが幸福と感じられるかもしれません。
これを専門用語で「持続期間の無視」といいます。
ある経験に対するあなたの総合評価は、それが継続した時間の長さをあまり考慮していない。これを 持続期間の無視 という
「デートの時間は長ければいいってもんじゃない」ということでもありますし、「2泊3日か1泊2日よりも、どんな場所を巡るかのほうが大切」ということでもあります。
直感的に考えてみれば、楽しい時間が長かった思い出ほど幸福で、一瞬しか楽しみがなかった思い出のほうが幸福の水準は低くなるような気もします。ですが、重要なのはどれだけ記憶に残る強烈な経験をしたかなんですね。
4.「ピーク・エンド効果」の進化論的裏付け
なぜ人間にはこんなヘンテコな性質があるのかというと、人の進化の歴史に理由があります。
見知らぬ地域を歩いているときにライオンに襲われそうになれば、もうその地域を歩く気にはなれないだろう。たとえその場所に、よい匂いのするきれいな花が咲いていたとしても。
私たちは、ポジティブな体験よりもネガティブな体験のほうが記憶に残りやすくなっています。もしこれが逆だったらどうでしょう。ライオンが近くにいるのにおいしそうな果物を食べようとする…なんてことをしていたら、種として生存できなくなってしまいます。
そこで、ライオンに出会った瞬間の恐怖(ピーク)や、ライオンから命からがら逃げ延びた安堵(エンド)を記憶しやすくなっているわけです。一番大事なところだけしっかり覚えておけば、脳への処理負担も軽減できますし。
5.デートの終わりや1日の終わりが一番大事!
もし1日を幸せな気分で終え、エンドにポジティブな記憶を持ってくることができれば、その日の幸福度は高まります。同じように、別れ際を意識することで女の子からの好感度もアップするものです。
ですので、1日の終わりにネガティブなことを考えたり、イヤな作業を持ってくることは避けたほうがよいでしょう。「昨日は最悪な1日だった」と思ってしまう可能性が高まりますし、そもそも睡眠不足になってしまうことだってあり得ます。
その日のピークに嬉しい出来事があるか、不快な出来事があるかはコントロールすることは難しいです。しかし1日の終わりなら容易にコントロールすることが可能です。
せめて寝る前だけでも、自分の好きなことに取り組んだり、好きなものに触れたりすることを心がけたいですね。
まとめ
というわけで、幸福な思い出をつくるための「ピーク・エンド効果」を解説してきました。ちなみに今回の出典は、『幸せな選択、不幸な選択』という本です。
この記事を読む日のピークには、さまざまな出来事があることでしょう。上司に叱られたとか、片思いの人と話せたとか、おいしいランチを食べたとか。そうした思い出のピークはもはや変えることはできません。
でも、エンドはこれから変えることができます。決してネガティブなことを触れることなく、寝る前だけは楽しいことを考えながら眠りましょう。
以上、『幸福な思い出をつくるためには「ピーク・エンド効果」を意識してみよう』という記事でした。