「人のせいにする」って言葉には、なんだかネガティブなニュアンスが含まれていて、あまり褒められたことではないような印象を受けます。
でも、どんな時もどんな場面でも人のせいにしちゃいけないのかっていうとそうでもなくって、積極的に「人のせい」「環境のせい」にすべきケースもあるんじゃないでしょうか。
SPONSER LINK
1.人のせいにしていい時
積極的に人のせいにすべきなのはどんな場面か。それは「精神的に落ち込んでいる時」です。
これは個人的な経験談になりますが、当ブログでも何度か紹介しているように、私は「社会不安障害」という病気を抱えています。私の場合は他人といっしょに外食をするのがダメで、飲食店などに入ると吐き気に襲われてしまう症状で苦しんでいます。
友人や家族と気軽にランチに行ったり、カフェで話したりできないのはツラいことではありますが、逆境をバネに在宅勤務を始め、外へ一歩も出ずに月収15万、18万を稼げることも多くなりました。
「外で食べるのがダメなら、家で食べればいい」「外で仕事もできないなら、家で働けばいい」と前向きに考え、料理スキルを磨いたりフリーランスとしての活動に力を入れたりしているわけです。
そんな私が、もし「ランチすらできないなんて、なんてみっともない人間なんだろう」「どうしてこんなカンタンなことすらままならないんだろう」と自分を責め、病気を自分のせいにしてしまったとしたら、きっと今のような人と違ったやり方で生きることはできなかったでしょう。
メンタルの波によって時々あることですが、自分を責めたくなり、自分を嫌ってしまいたくなることももちろんあります。しかしそんな時には「さっさと治療してくれない心療内科の医師が悪いんだ!!」「病気になる原因をつくった元カノが悪いんだ!!」と、積極的に人のせいにし、周りのせいにしています。
こうしてメンタルの安定化を図り、「自己嫌悪」という最大の敵から私自身を守っているというわけです。
2.自己嫌悪を防ぎ、自己効力感を高めるため
人が前向きに人生を歩み、成功を手にするためにもっとも障害となるのは「自己嫌悪」だと私は考えています。「自分はダメなやつだ」「こんな奴、いなくなってしまえばいい」なんて考えるネガティブな感情のことですね。
なぜ自己嫌悪がよろしくないのかというと、「自己効力感」を低下させてしまうからであります。自己効力感ってのは、心理学者アルバート・バンデューラが唱えた言葉で、わかりやすく言い換えるなら「自信」のことです。
「自分はやればできる!」「自分には能力がある!」と信じられるかどうかを指し、自己効力感が高いほど成功しやすい人になるし、低いほど失敗してしまう。言われてみれば当たり前のことかもしれません。
この自己効力感をぐんぐん下げてしまうのが、自己嫌悪なんですな。自分を嫌いになるってことは、自分の可能性を疑い、能力を信じないことであります。なので、自己嫌悪は私たちの日常のなかで、徹底的に減らすべき不必要な感情といえるのです。
3.人のせいにしてはいけない時
対して、人のせいにはしてはいけない時ってのも、たしかにあります。それは人のせいにしてもいい時の逆で、「気分が前向きでイケイケな時」です。精神的に落ち込んでいない時以外、と考えてもよいでしょう。
仕事でなにかアクションを起こした時、成功するとは限らず失敗に終わることは多々あります。かかわっているプロジェクトが頓挫してしまったり、新規事業の立ち上げに失敗してしまったり。
そんな時は気分が沈みがちではありますが、もし「それほど気にしてない」という状態なら注意したほうがよいでしょう。「自分に失敗の原因があったのでは?」と徹底的に自分のせいだと考え、失敗した理由を洗い出すべきです。失敗から学んでこそ、人は成功できるものです。
気分が上向いていてイケイケな時は、つい「自分は悪くない」「俺には価値がある」と傲慢な態度になってしまい、自分の行動を反省しようとは思わない傾向にあります。しかし、そんな時こそ自分に厳しくし、自分のせいにしなくちゃなりません。
そうじゃないと自ら墓穴を掘ることになりますし、いつも他人のせいにする人とは友達になりたくないでしょうから、人から信用されない孤独な人間になってしまいます。
4.孤独が寿命を縮める
人間という生き物は、孤独にめっぽう弱い存在です。古代より人は集団をつくって生活をし、天敵から身を守ってきました。進化論の視点から考えても、人は他者を必要とし、社会的なつながりを必要とする生き物なのです。
たとえば、人は孤独を感じるだけで早死にするリスクが高まり、社会から離れて暮らすことで寿命が縮むことがわかっています。家族や恋人と暮らすことなく一人暮らしをする人も、早死にのリスクが高まってしまいます。
以前「親友がいると15年寿命が延びる!若いうちから友達をつくらないとヤバイかも」という記事を書きましたが、そのなかでは
いままで孤独だった人がひとりの親友を作っただけで、最大で寿命が15年も延びる
という話を引用しました。ある研究者が試算した計算ではありますが、孤独が寿命を縮め、密な人間関係が寿命を延ばすことは間違いありません。だったら、自ら孤独を導くような行動は避けないといけません。
孤独を誘い寄せてしまう行動というのは、やはり「人のせいにする」ことです。自分の非を認めず、「たまたま運が悪かったから」「仲間がちゃんとがんばってくれなかったから」と他者や環境のせいにする人間は、周りからの信用を失ってしまいます。
人の評判や噂というのは、瞬く間に広まってしまうものです。「あの人って自分の間違いを全然認めない性格らしいよ」とイメージがついてしまったら、交友関係を広げることが難しくなってしまいます。そうなる前に、「人のせいにする」という悪癖を捨て去りたいところです。
まとめ
というわけで、ここまでをまとめると、
- 気分が下降気味の時は自分にやさしくし、自己嫌悪から身を守る
- 気分が上向いている時は自分に厳しくし、孤独から身を守る
ということになります。ネガティブな時は人のせいにし、ポジティブな時は自分のせいにしよう、ってわけですね。
今後気分が落ち込み気味な自分に出会ったら、「もっと人のせいにしてもいいんじゃないか?」と考えてみましょう。逆にイケイケな気分な時には、「もっと自分に厳しくしたほうがいいかも?」と内省できるよう努めてみましょう。
以上、『人生には「人のせい」にしていい時と、してはいけない時がある』という記事でした。