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「昨日の自分に教えたいこと」をテーマに書き散らしてます

私たちはなぜ「松・竹・梅」のうち【竹】を選んでしまうのか

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家電量販店でパソコンや家電を探しに行くと、だいたいエントリークラスとミドルクラス、そしてハイエンドクラスの3段階に分かれていることが多いものです。そして私たちは、だいたいの場合中間のミドルクラスを選んでしまう傾向にあります。

値段も中くらい、性能も中くらいの中途半端なものを選んでしまう理由には、実は「損失回避」という心理が働いているんだぞって話です。

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1.3段階のうち中間を選んでしまう私たち

スーパーでも家電量販店でもそうですが、お店に行くと「これ、誰が買うの?」って思えるような高額な商品が置かれていることってありますよね。パソコン1台に何十万もするってのは、一般の人の感覚からすると高すぎる!って思えるんじゃないでしょうか。

実はあえて高価な商品を置いているのには理由があって、高価な商品と「比較」することで、その他の商品が安く見えるという効果を狙っているんです。パソコンを買おうとして、30万と10万の商品があったら、10万が「安い!」と思えるでしょう。

そうではなく12万と10万の商品があったとしたら、あまり安いとは思えないはず。この心理を利用し、あえて高価な商品を並べておき、さらに非常に安価な商品も並べておく。すると、一番売りたかった中間モデルの商品が売れやすくなる…って現象が起こるんですな。

  • 30万
  • 10万
  • 5万

の値段のパソコンが並んでいたとして、30万のパソコンは高すぎるけど、5万のパソコンは安すぎて性能が心配…。よし、真ん中の10万のパソコンを買おう!みたいな心理です。

昔から「松・竹・梅」といった3つのコースを用意する慣習があったのも、利ざやの少ない松と梅をあえて設けることで、利益が大きい「竹」をよりたくさん注文してもらおうっていう思惑が隠れていたんですね。

2.選択肢が2つなら、選ぶ確率は半々

ところで、選択肢が3つではなく2つだったら、選ぶ確率に大きな変化は出ないことがわかっています。

1980年代におこなわれた少し古い実験ではありますが、一眼レフカメラとカセットレコーダーのカタログを被験者に渡し、どれがほしいかを選んでもらう研究が実施されました。その結果、選択肢が2つの場合には選ぶ確率が半々になったんだそうな。

半数はハイエンドクラスを買い、半数はエントリークラスを買ったというわけです。そこで次のように工夫を加えてみますと、

選択肢にもう一つ、さらに高額のモデルを加えると、参加者の半数から3分の2が今回は中間価格となったモデルを選び、一番高いモデルと一番安いモデルで残りを分け合った。

という結果が得られたんだとか。2つの選択肢にもう1つ商品を加えただけで、3分の2の参加者が中間のモデルを選んでしまう。これはいったいどんなメカニズムが働いているんでしょうか?

3.中間で妥協するのは、損するのがイヤだから

MIND OVER MONEY―――193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実』という本では、このように中間を選んでしまうことを「妥協効果」と紹介しています。そのまんまですね。

んで、この妥協効果には、かの有名な「損失回避」という心理が深く関わっているといいます。人間は得をしたプラスよりも、損をしたマイナスのほうを多く見積もるっていう傾向のことで、2分の1の確率で1000円か0円もらえるってギャンブルよりも、確実に500円もらえるほうを好むって例が代表的です。

高級品は性能が優れているが、値段が高いという大きな欠点がある。安物は安さが強みだが、品質が劣るという大きな欠点がある。中間の価格帯は品質でも価格でも見どころはないけれど、逆に言えば大きな欠点もない。

つまり、ハイエンドクラスを買うと「高い出費」という損をすると考え、エントリークラスを買うと「品質が悪い」という損をすると考えるわけです。その結果、どっちの損失からも逃れることができるミドルクラスのモデルを選んでしまうってわけですな。

ハイエンドクラスのように高性能ではないし、ローエンドクラスのようにお手頃価格でもない。だけど目立った欠点もないミドルクラスを、私たちは好んで買ってしまうってことですね。

もちろん、それがいいことだとは言い切れません。なんの特徴もないってことは、一番満足度が低い買い物につながってしまう可能性があるからです。この妥協効果や損失回避って現象に惑わされないためには、ちきりんが提唱する「一点豪華基準」を使うのがおすすめ。

「自分が重視するのは安さなのか?それとも性能なのか?もしくは別の特徴なのか?」をあらかじめじっくりと考えておくことは、パソコンであれ住宅であれ転職であれ、意思決定の際に役立つ考え方であります。ぜひお試しください。

まとめ

以上、3段階の商品ラインナップがあると、私たちはつい中間のモデルを選んでしまう。その理由について「損失回避」をテーマに解説してきました。

「そういう傾向があるのは知ってたけど、損がイヤだからそんな選び方してたのか!」とびっくりした方は少なくないはず。自分にはこういう傾向があるってことを踏まえた上で、本当に満足できる買い物をしたいですね。