自分のキャリアを選ぶにあたって悩むことの1つが、「重責に追われる会社幹部」を選ぶか、それとも「安月給の平社員」を選ぶかという問題でしょう。いわば責任と給料のトレードオフであります。
一応この選択には、心理学的な観点から「会社幹部がおすすめ」と推すことができます。その理由と、個人的な考え方を書いてきます。
SPONSOR LINK
TL;DR
より幸福な人生を手にしたいなら、たとえ責任がのしかかってこようと「裁量権」が多い方を選べ。
「ホワイトホール研究」によれば会社幹部に軍配
俳優や科学者に限らず、その人が属している社会階層での地位(ソーシャル・ポジション)が上であるほど、健康状態が高くなるという現象が知られています。
『友だちの数で寿命はきまる』という本では、こんなことが述べられています。責任は大きくとも、社会的な立場が上な人ほど健康である。それは一体なぜなんでしょうか?
これを裏付ける研究はいくつかありますが、その先駆けとなったのは「ホワイトホール研究」という有名な調査なんだそうで、ロンドンの官僚街でおこなわれたちょっと古い研究です。日本でいう昭和の霞ヶ関が舞台といったところでしょうか。
これはロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのマイケル・モーマット教授による古典的な研究。1967年から、ホワイトホールで働く約2万8000人の公務員の男女を対象として行われています。
要は、たくさんの公務員の方々を調べて、社会的地位と健康との関連性を調べたものであります。「偉い人は短命なのか?」「それとも逆に長生きするのか?」みたいなことを調査したんですね。
このホワイトホール研究の結果、階層のいちばん下のレベルで働いていた公務員は、もっとも高いレベルで働いていた人と比べて死亡率が4倍になっていました。遺伝的な要因、喫煙、過度の飲酒といったリスクファクターの影響を排除しても、レベルが下の人の死亡率は2倍になっていました。
結果は上記のようなものでした。注目すべきは、立場の低い人ほど死亡率が高く、立場が上の人ほど死亡率が低いって点です。
給料が少ないけど責任も少なくて自由度が高そうに思える平社員よりも、責任が大きくプレッシャーに晒されそうな会社幹部の方が、長寿で健康でいられると言い換えてもいいでしょう。
つまり、偉い人は長生きするのです。
コントロールできる範囲が広いと、それだけ幸福に
なぜこんな現象が起こるのでしょうか?
私個人の印象としては、大きなプレッシャーを抱えて出世を目指す人生も、少ない給料ながらいつでもやめられる安心感のもとで働くフリーターのような人生も、どっちも同じくらい幸福なんじゃないかな〜と思ったりします。
そうではなく、社会的立場が上になれば健康になれるって傾向があるのは、どうも「裁量権」というものが大きく関係しているそう。
地位が低いと責任とストレスは小さくなるかもしれませんが、裁量権が極めて狭いのでストレスの逃げ道がなくなります。言われたことをただ行うだけでは健康被害が増えてくるのです。
要するに、自分で決められることが多いか少ないか、言われたことをやるだけの人生か自分で道を切り拓いていく人生か、の2択であれば、自分が決められることが多く自分で切り拓いていく人生の方が、精神的に健全ということでしょう。
それだけ「自分で決められない」というストレスが強大で、私たちの心身に悪影響を及ぼすってことなんですね。
フリーランスや自営業が幸せを感じやすい要因かも
フリーランスという立場で毎日仕事をしている私としては、これは嬉しいニュースと考えることができます。私のように自営業でやっている身分としては、働く場所や時間、クライアントなどは自由に選べるわけですから。
個人的には将来の不安がそれなりに大きくて、「奨学金はちゃんと返済できるだろうか?」「家族が増えても暮らしていけるだろうか?」なんて考えて、眠れない夜を過ごしたりすることもあります。
ですが、それ以上に自由に仕事ができるってメリットが大きく、精神的にストレスを抱えずにすむのかもしれませんね。なんの専門性も持たない自分のような人間が、一人で働いてお金を得ることができるってのは、ありがたい時代に生まれたものです。
そんな人生を他の人にも気軽に勧めるつもりはありませんけど、ガチガチに縛られた職場で働いている人は、もっと自由度の高い職場を選ぶだけでも人生は好転していくはずですんで、真剣に転職を考えてもいいんじゃないかな〜と思います。
まとめ
以上、重責に追われる会社幹部と、安月給の平社員、どっちが幸福なのか問題について書いてきました。
たとえ大きなプレッシャーがあろうと、社会的立場が上で裁量権の大きな地位の方が、健康的で幸せな人生を歩むことができるみたい。
今すぐにできることとして、「なんとなくじゃなくて積極的に休日の過ごし方を決める」みたいな取り組みを始めるのも、広い裁量権を持っている感覚につながると思いますんで、ぜひお試しください。