「子どもを全員東大に合格させたノウハウ」とか、「私が20代で起業に成功した理由」みたいな、個人の成功体験をもとにした本はたくさん出ています。
でも、たったひとつの経験にもとづく成功理論がほかの人にも当てはまるとは到底思えませんよね。
今回は「少ないサンプル数の成功理論を信じるのはやめよう!」という話。
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1.個人の成功体験を語る人
成功した人生を歩んでいる人って、自分の経験談をノウハウ化して本にしたり情報商材にしたりして、ほかの人にも同じ道を進ませようとしますよね。
スポーツでもそうだし、大学受験や職業人生でもそう。
〇〇をしたから成功したんだ!とか、●●のおかげで東大に受かったんだ!みたいな体験談のことであります。
でも、ひとりの人生経験にもとづく成功理論って本当に役に立つんでしょうか?
2.そのアドバイスは本当に正しいの?
成功者が語る話ってのは非常に有益で、ためになることも多いとは思います。
「勤勉」「誠実」「倹約」みたいなテーマで成功体験を聞くたびに、「ああ、やっぱり自分を厳しく律して嘘をつかないことが大事なんだな」と再確認できます。
しかし、なかには極端なものもありますよね。
たとえば、「毎日3時間しか眠らず、寝る間も惜しんで勉強したから東大に受かった!」といった類の話です。
睡眠時間を3時間に減らして、その分を勉強に全部回したら、すべての人が東大に受かるんでしょうか?
そんなことはないでしょう。
ほかの要因(たとえば親が教育熱心だったとか)のおかげで東大に受かった可能性が高いはず。
成功体験を真似して、アドバイス通りに3時間睡眠ですごした結果、体調を崩す人も現れるかもしれません。
3.大数の法則
ところで、統計学では「大数の法則」というものがあります。
これは、サンプル数が多いほど正確なデータが得られる、という当たり前のことを指した法則。
たとえば、2分の1で裏表が出るコイン投げを2回おこなったとしても、裏:表が1:1で出る可能性はかなり低い。
でも、もし100回おこなえば裏:表が50対50に近く可能性はかなり高くなるよって現象を説明する法則です。
さらに1000回、1万回と繰り返せば、裏:表が出る確率は、2分の1に限りなく近づいていく…これは感覚的にも納得できる話です。
4.たったひとつのサンプルはあてにならない
これを個人の体験談の話に当てはめると、サンプル数が少なすぎてそれは成功理論とはいえないんでは?という反論ができます。
つまり、「3時間睡眠で勉強する」みたいなやり方でひとりだけ成功したとしても、それがほかの人にも当てはまるとはいえないよ。
むしろ100人も1000人も口を揃えていう「睡眠は7時間以上しっかりとる」というアドバイスの方が信頼性が高いよ、というわけであります。
5.エビデンスにもとづいたデータを参考にすべし
また、科学の世界では「エビデンスレベル」というものが重視されます。
エビデンスってのは「根拠」の意味で、どのくらい信頼できる根拠なのかっていう基準を示すのが、エビデンスレベル。
たとえば、専門家の意見ってのは一番低いランクのエビデンスとして位置付けられます。
一方で高いランクにあるのは「ランダム化比較試験」と呼ばれる実験方法で得られたデータのこと。
イメージとしては、100人の一般人をつかまえて、ランダムに50人:50人のグループにわけ、片方では3時間睡眠、片方では7時間睡眠をとってもらって勉強の成績を調べる、みたいな実験のことです。
集団をランダムにグループ化し、グループ同士を比較するのでこの呼び名がついています。
単に専門家が口にした意見よりも、こうした信頼できそうな実験にもとづくデータの方が、ずっと生活に取り入れてみようって思えますよね。
ってなわけで、なにか新しい情報をもとに生活を変えようとする場合には、
- サンプル数が少なすぎるデータではないか
- 信頼できる根拠があるか
という点を意識すると、安易に子どもを厳しくしつけたり、精神論に頼ったりすることを防げるかもしれません。
まとめ
- 個人の成功体験って、一般的に当てはまる法則とはいえないよね
- だって、大数の法則によればサンプル数が少なすぎるから
- しっかりしたエビデンスがあるかを見て、成功者の言葉を吟味しよう
私自身も、どんな効果があるのかを示したエビデンスをもとに、運動や日記、瞑想を生活に取り入れてきました。
一言にまとめると、とにかく他人の成功体験が自分にも当てはまると早とちりするな!ってことですかね。笑
以上、『個人の成功体験がほかの人には当てはまらない統計学的な理由』という記事でした。