なんでも放り込むことができて、検索性バツグンで、端末を問わず使えるメモアプリといえば「Evernote」です。
しかし、近年では端末が2台までの制限がかかったり、何度も繰り返しバグ修正アップデートが実施されたりと、使い勝手がどんどん悪化しているような印象を受けます。
そこで、EvernoteをApple純正のメモ.appに移行する作戦を実行してみました。
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1.Evernoteの使い勝手が悪化
2016年6月、無料アカウントのEvernoteユーザーは、従来無制限だった利用端末が2台目までに限定されるアップデートがアナウンスされました。これまではパソコン・スマホ何台にEvernoteをインストールして使えたのに、無料アカウントの場合はそれが2台まで(パソコン1台 + スマホ1台など)に改悪されてしまったわけですな。
とはいえ、実は私はEvernoteのプレミアム会員でして、この改悪にはそれほど影響を受けていませんでした。しかし、iOSやMac向けのEvernoteで頻繁にアップデートを繰り返す最近の挙動とか、長い文章を書いていると急に動作が重くなる現象とか、いろんな場面で小さなストレスを感じることが多くなっておりました。
プレミアム会員はまだ1年ほど残っている状態ではあるんですが、そろそろメモアプリ=Evernote一択という時代も終わりなのかもな、ということで、乗り換え先のサービスを探してみることに。
2.Apple純正のメモ.appに乗り換えてみる
Evernoteから乗り換える、というとMicrosoftのOneNoteが有力候補かと思うんですが、個人的にMicrosoftが嫌いなんで、今回は除外。
Google Keepは魅力的なメモアプリではありますが、私は日記を書いたりPDFファイルの保管庫として使ったりする使用方法がメインになるため、ちょっと相性が悪い。
そういえば、パソコンはMacだしスマホはiPhoneなんだから、いっそApple純正のメモアプリを使えばいいんじゃね!?と思い至り、乗り換え先はメモ.appとすることにしました。
なお、Evernoteは月間アップロード上限があるものの、保存できる容量については無制限でした。プレミアム会員なら月10GBまでアップロードができますが、12ヶ月上限まで容量を使い、120GBのファイルをEvernoteに保存しても問題なかったわけです。
対してiCloudにデータを保存するメモ.appは、iCloudメールやiCloud Driveの容量と合算して5GBまでしか使えません。
この点は少し懸念していたんですが、実際にEvernoteからメモ.appにノートを移行してみたら1GBくらいにしかならなかったんで、私の場合は問題なしでした。Evernoteのノートブック数を減らし、できるだけシンプルにしておいたのが功を奏したのかも。
3.移行は予想以上にカンタン
なお、Evernoteからメモ.appにデータを移行するのは、めちゃくちゃカンタンであります。
なんでも、メモ.appにはEvernoteのデータベースファイルを読み込んで、いい感じに取り込んでくれる機能が追加されているそうな。
Evernoteで「ノートをエクスポート」し、生成された.enexファイルをメモに読み込ませてあげれば、数分で移行が完了しました。
参考:https://www.danshihack.com/2016/07/01/junp/mac-evernote-to-mac.html
4.便利な点と不便な点
続いて、私が感じたメモ.appのメリット・デメリットをまとめておきます。
メモ.appのメリット
まずメモ.appのいいところとして一番大きいのは、動作が軽快なことでしょう。MacやiPhoneユーザーなら無料で使えるうえ、Evernoteではできなかったノート個別のロック機能があるのも地味にうれしかったりします。
動作が軽く、同期が早い
さすがにメモの数が多くなるともたつくようになりますが、基本的には動作は軽快です。
iPhoneで編集したメモは、Macでも瞬時に反映されます。同期の仕組みはわかりませんが、リアルタイムで同期しているような感触ですし、「競合している変更」なんてエラーがでないのも便利。
メモ一つひとつにロックがかけられる
Evernoteでは、特定のノートにだけ、ロックをかけて簡単に閲覧できないようにする機能がありませんでした。
しかしメモ.appでは、メモ一つひとつにロックをかけることができます。これにより、たとえばアカウントとパスワードの保管がしやすくなるでしょう。アカウント名とパスワードの組み合わせを保存するメモをひとつ作成して、そこにAmazonのパスワードやTwitterのアカウント名をメモしておく。最後に自分だけわかるマスターパスワード的な文字列を設定して、メモをロック。
MacやiPhoneについているTouch IDを使えば、ロックの解除は安全かつスピーディにおこなえますんで、意外とうれしいポイントです。
あとは人に見られたくない画像だったり、機密情報をうっかりパソコンの画面に表示させてしまうのも防げるでしょう。
無料
忘れちゃいけないのは、利用料は完全無料ということ。MacやiPhoneを使っていれば、標準で使えるメモアプリですんで、コストがまったくかかりません。
もちろん使える端末台数に制限はありませんし、今後有料化される可能性も低いでしょう。無料で安心して使えるって意味では、Evernoteとは大きな違いがありますね。
メモ.appのデメリット
ただし、メリットばかりではありません。私の場合は、頻繁に利用していたEvernote WEBクリッパーが使えなくなるって点が、かなり大きいデメリットになりました。
WEBクリッパーが使えない
Evernoteには、WEBクリッパーといってWEBページをそのままノートとして保存してくれる便利な機能がありましたが、メモ.appの場合には似た機能はありません。ボタンひとつでノートをつくってくれたEvernoteと違い、メモ.appで同じことをしようとするとテキスト全選択→コピペという手間が必要になります。
もしかすると、このWEBクリッパーほしさにEvernoteに戻ってしまう可能性もあるとさえ考えています。
しかし、WEBクリッパーが使えない状況ってことは、WEBクリップの重要性を再確認する機会ともいえます。つまり、意外とWEBクリップって必要ないんじゃね?と気づくチャンスになるわけです。
思えば私は、これまでWEBクリップをたくさん保存してきましたが、それを読み返すことってほとんどなかったように思うんです。後で読むつもりでクリップしたけど、結局一度も読んでない、みたいな。
だったら余計なアプリをアンインストールして、WEBクリッパーも使わない情報整理術に切り替えてしまえばいいよね、と考えております。
リッチテキストの扱いがめんどう
それから、メモ.appでは標準のスタイルが任意に決められないため、几帳面な私にとってフォントや文字サイズのズレが少し気になるところであります。
こっちのメモでは12ptの文字だけど、あっちのメモだと14ptの文字でしかもちょっと茶色がかっている…みたいなズレが許せない人間なんで、この辺りでちょっと消耗してしまうかも?一応「スタイルを削除」っていう機能はありますが。
Evernoteだと「標準テキストにする」っていう機能があって、スタイルを好きなテーマで統一できたんですけどね。
一覧性が悪い
メモ.appの場合、3カラムで左からフォルダ・メモのリスト・メモという並びになっています。
Evernoteに慣れていると、この真ん中のメモリストの部分を、どうにか見やすくできないもんかなと思ってしまいますが、ここのレイアウトは固定で動かせず。
好きなメモを一番上に持ってくる「ピンで固定」という機能はありますが、やっぱりもう少しリストの表示オプションがあるといいですよね。
5.この機会にToDoを減らすのもアリ?
というわけでメモ.appにすると、シンプルで軽快な動作でメモをまとめられる反面、WEBクリッパーや表示オプションの選択など、いろいろとできないことが増えることがわかりました。くわえて、ノートブックをまとめるスタックという機能がなかったり、タグ機能がなかったりと、不便な点は多々あるかもしれません。
Evernoteより操作性に不便を感じるってことになりましょうが、逆にいえば「余計なことをやらずにすむ」ってことでもあります。
メモ.appならWEBクリッパーが使えないので、手動でWEBページを保存しないといけない。だったら、より楽になるよう大事なところだけコピペしてムダを省く、なんてことにつながるでしょう。
スタックやタグ機能がないってことは、メモの整理に時間を取られにくくなる、ってことでもあると思います。ついついノートの整理って楽しくなっちゃいますもんね。
機能が少ないってことは、やるべきことも少なくできるってこと。そう信じて、しばらくメモ.appを使ってみようと思います。どうしてもうまくいかなかったら、またEvernoteに戻ってくる方向で。笑
まとめ
- Evernoteの改悪が気になるので、MacやiOS標準のメモ.appに移行してみた
- インポート機能があるおかげで、以降はめっちゃカンタン
- 見た目も機能もシンプルになるので、最初は不便かもしれないけど余計な時間が減らせるかも
ちなみに、メモ.appに移行して一番よかったなと思うのが、「利用するサービスの数を減らせた」ってことだったりします。
私はどうもたくさんのサービスを使うのが苦手でして、オンラインストレージもDropboxやOneDriveを解約し、Google Drive1本しか使っていなかったりします。
Evernoteを減らしてMacやiPhone標準のメモアプリを使うってことは、アンインストールできるアプリがまたひとつ増え、解約してOKなサービスがひとつ増えることになります。今後、Evernoteのアカウントやパスワードを管理する手間がいらないと考えると、すんごく身軽になった気分であります。
ってなわけで、Evernoteからメモ.appに移行を考えているのなら、ちゃちゃっとできるので一度試しに乗り換えて使ってみるのがおすすめですよ。
以上、『改悪化し続けるEvernoteから、Macメモ.appに移行できないか考察』という記事でした。