「スマホを手放して退屈な時間を取り戻そう!」というコンセプトの『退屈すれば脳はひらめく』という本を読んでいます。その中で紹介されている事例のひとつとして、PGS(ファントム・ガジェット・シンドローム)の話が出てきます。
「あるある!」と思ったのと、よくよく考えるとスマホ依存症って怖いなって思ったので、この話に加えてスマホと上手に付き合う方法を考えていきます。
- 1.PGS(ファントム・ガジェット・シンドローム)とは
- 2.まるで手のかかる4歳児のようなスマホ
- 3.スマホ依存症を克服するためには
- 4.自宅では玄関に置きっぱなしもおすすめ
- 5.スマホと上手に付き合い、人生の主導権を取り戻そう
- まとめ
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1.PGS(ファントム・ガジェット・シンドローム)とは
PGS(ファントム・ガジェット・シンドローム)っていうのは、スタンフォード大学の研究者、アレックス・スジョン=キム・パン博士によると、
「つぎの電話やツイートの受信にすぐ気づかなくてはと思うあまり、錯覚が起きる」
現象だといいます。私も携帯を持ち始めた高校生の頃には、友達や恋人からのメールを待つあまり「あ、今携帯鳴ったかな?」なんて思ってポケットから出してみるものの、待ち受け画面には通知ゼロ…なんて経験をしたものです。
これは私たち一般人だけでなくて、医療の現場で働く研修医さんによくみられるのだそうです。
着信音が鳴っているのに気がつかないと生死を分ける事態につながりかねませんから。
なるほど、納得できる話です。なお、似た概念に「ファントム・バイブレーション・シンドローム」というものもあります。こちらは、鳴ってもいないバイブレーション(振動)を「鳴った」と勘違いしてしまう現象ですね。ほぼ同じものと言ってもいいでしょう。
2.まるで手のかかる4歳児のようなスマホ
パン博士は、スマホのことをおもしろい表現を使っていまして、
「スマホの行動はまるで4歳の子どもみたいです」とパンは言います。「いつでもどこでも注意を引こうとします」
要するに、スマホは4歳児だ!って言い表しているわけです。私には子どもがいませんが、実は年の離れた兄弟がおります。昔は親の手伝いで弟のオムツを変えたり、留守番してめんどうを見たりしたものでした。
小さい子どもって、なにかにつけて自由気ままに振る舞うものです。変なものを食べたり変なモノをおもちゃにして遊んだり。私たちの注意を引くさまは、なるほどたしかにスマホに通じるものがあるような気がします。
ですが、小さい子どもをしつけることなく自由に遊ばせていては、いつまでも手のかかる子どものままです。しかるべきルールを教えて、していいことと悪いことを教えないといけません。この「教える」っていう動作は、スマホでいう「通知をオフにする」「おやすみモードに切り替える」といった設定と同じもの。
子どもををしつけるのと同じように、スマホもしっかりしつけよう!と、なかなかユニークな話をしてらっしゃいます。
3.スマホ依存症を克服するためには
また、博士はこうしたファントム・ガジェット・シンドロームを克服するための方法も述べています。
いつもつながっているせいで起きるこの恐るべき副作用に対して、パンはスマホを物理的に遠ざけることを処方箋としています。
要するに、スマホを遠くに置け!ということですね。だれでも経験があると思いますが、デスクの上にスマホを置いておくと、ついSNSや通知が気になってしまうものです。しかし、充電が切れて別の場所で電源ケーブルにつないでいると、自然とスマホが気にならなくなります。
スマホとの距離が、スマホ依存症の克服に重要な役目を果たしているわけです。
スマホをかばんにしまっておけば、ある種の境界線が生まれ、「スマホとのほどよいバランスを取り戻すことができる」でしょう。
デスクに座って作業している時だけではありません。外出したり友達と会話を楽しむ際にも、スマホを遠ざけておくことをパン博士は提案しています。たとえば、カフェで恋人とデートしている時。スマホを財布といっしょにテーブルの上に置きっ放しにしたりしていませんか?
2014年に発表されたヴァージニア工科大学の研究によると、
スマホがあるだけでふたりの知人のあいだに共感が生まれにくくなる
ということがわかっています。会話しているふたりの間にスマホを置くだけで、会話の質が低下してしまうということであります。これはもちろん恋人や家族のような親しい関係のふたりにも当てはまるものですので、会話の質を落とし、ケンカするきっかけをつくりたくないならば、カフェでのデート中はスマホをかばんにしまって置くのが得策です。
4.自宅では玄関に置きっぱなしもおすすめ
ちなみに、メンタリストDaiGo師匠の『人生を思い通りに操る 片づけの心理法則』という本では、スマホの充電器を玄関に置いてしまうことを提案しています。自宅にいる時、目につきやすいデスクの上や寝室、リビングにスマホを置くのではなく、生活している上でまず通らない玄関にスマホを置かないといけない環境をつくるわけです。
すると、自宅でムダにスマホいじりする時間が少なくなります。玄関でスマホいじりするのは疲れますし、かといってスマホをリビングや寝室に置いてしまうと、充電ができなくて翌日の仕事や学校に支障が出る。そんな強制力のある仕組みをつくっておけば、スマホ依存症は軽減するでしょう。
ちなみに、「玄関にコンセントなんかないよ!」って方は、モバイルバッテリーを併用することがおすすめされています。
5.スマホと上手に付き合い、人生の主導権を取り戻そう
ファントム・ガジェット・シンドローム、すなわち「実際には鳴ってないのに、スマホに通知がきたように錯覚」した経験があるのであれば、スマホとの付き合い方を見直してみることをおすすめします。そのための有効策となるのが「スマホとの距離を遠ざける」こと。
外出時には基本的にかばんにしまっておき、できるだけポケットにも入れないようにする(歩きスマホはもってのほか)。自宅では、充電器を玄関にだけ設置することで、リビングや寝室ではスマホを使えない環境にしておく。こうした工夫によって、スマホと上手に付き合うきっかけを生み出せるはずです。
なお、スマホでムダな時間を浪費してしまって困っている重度のスマホ依存症の方は、簡易的な金庫を利用するのもおすすめ。
こちらのプラスチックケースは、もともとダイエットをしている人向けに食欲を制限するために開発されたガジェットのようで、乾電池式の簡易金庫みたいなイメージです。ダイエット中ならお菓子、受験生ならゲーム、貯金がしたいならクレジットカードと、用途に合わせて欲求コントロールの役目を果たしてくれます。
もちろん、スマホ依存症にも効果あり。時間が経つまでは(ケースを破壊しない限り)中にしまったスマホを取り出すことができなくなります。ケースが透明だと中身が見えてしまい、「ああスマホがいじりたい…!」とストレスの原因にもなりかねませんので、実際に使う場合には中身が見えないよう目隠しするか、クリアタイプでないモデルを選ぶのがおすすめ。
先に紹介したように「近くにある感」が少なくなり、スマホ依存症を克服しやすくなるはずです。
まとめ
- 実際には鳴ってないのに、スマホが鳴ったような錯覚に陥る「ファントム・ガジェット・シンドローム」
- スマホ依存症克服には、「スマホとの距離をとる」ことが一番大事
- 根深い依存症には、簡易金庫を使って欲求をコントロールすべし
というわけで、スマホ依存症にかんする怖い事例と、スマホとうまく付き合っていくためのヒントを紹介してきました。記事の中で取り上げた簡易金庫「タイムロッキングコンテナ」は、実は前々からほしいと思っていたものなんですが、1万円近くする価格がネックでまだ手を出せずにいたりします。
私はSNSはしない主義で、TwitterやFaceBookを使うのは発信する場合だけ。流れてくる情報を消費するだけのためにSNSを利用しないことを決めています。とはいえ、昔からゲーム好きな人間で、つい時間を忘れてスマホゲームに没頭してしまうことがしばしばあるんで、今でもゲームの誘惑と戦っております。笑
「スマホとの距離」を意識して、依存症を克服していきましょう。
以上、『ファントム・ガジェット・シンドロームとは?スマホ依存症の怖い話と、うまく付き合う方法』という記事でした。