私たちは、イヤな作業を目の前にしたとき、ついつい先延ばししてしまいます。
「明日の自分はできるはず!」と、未来の自分を頼ってしまいます。
今回は未来の自分のことを脳はどう考えているのかに焦点を当て、未来の自分を頼る危険性を説いていきます。
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1.未来の自分を過大評価してしまう
私たちは、未来の自分のことをつい過大評価してしまいます。
たとえば、1日の終わりに疲れ切って勉強や仕事ができないとき。
「明日の朝の自分にまかせよう」と考えたことは、誰にでも1回はあるはず。
明日の朝の自分なら、いつもより早めに起きて、驚くべきスピードと集中力で勉強に取り組み、仕事を終わらせてくれる。
そんなヒーローを空想し、イヤな作業を先延ばしにしてしまうわけです。
2.脳は未来の自分を他人とみなしている
心理学の研究では、こうした「未来の自分」という存在に関して、非常に興味深い結果が示されています。
ある実験で、被験者の脳の画像をスキャンして調べる際、「未来の自分を思い浮かべてください」または「赤の他人のことを思い浮かべてください」と指示を出したそうな。
そのときの画像を調べると、なんと2つのケースでは脳の画像はほぼいっしょ。
つまり、私たちの脳は「未来の自分」 = 「赤の他人」と考えてしまう性質があるようなのです。
いわれてみればたしかにその通りな気もします。
未来の自分って、(実際はそんなはずはないのに)いまよりずっとやる気に満ちていて、どんな仕事でもテキパキとこなし、時間管理のエキスパートのようなイメージを持ってしまいますよね。
本当は自分の問題なのに、他人に渡すように未来の自分へ仕事を渡す。結果、仕事を先延ばしするようになる。未来の自分に押しつけるというわけだ。
『大事なことに集中する』に書かれている通り、まるで同僚や友人に頼みごとをするかのように、未来を自分を頼ってしまうということですな。
未来の自分を他人とみなすと、未来の自分はこの本を読んでいる自分よりも疲れていないし、忙しくもない。集中力もあって仕事がやりやすい状態と考えがちになる。
能力を過大評価した「未来の自分」という存在は、いまの私たちにとって先延ばしをしていい言い訳にしかなりません。
それならば、最初から「未来の自分」なんてものは存在せず、いまの自分しかいないと考えた方が利口ですね。
3.未来の自分に対する幻想を捨てるべし
というわけで、未来の自分に対して過大評価を下し、「いまの自分よりデキる!」みたいな妄想にはとらわれないようにしましょう。
ただし、未来の自分の「過小評価」なら問題ないと私は考えています。
というよりむしろ、進んで過小評価をおこなうべきでしょう。
明日の自分は、今日よりずっと眠く、やる気が起きず、プレッシャーに押しつぶされ、上司に振り回されるかもしれない。
だったら、今日のうちにがんばって仕事を終わらせよう。
そう考えられるようになるからです。
未来の自分を常に過小評価できるようになれば、仕事の〆切をオーバーすることなく、早め早めに行動する習慣を身につけることができるでしょう。
まとめ
- 私たちは未来の自分を過大評価しがち
- 脳は、未来の自分のことを他人とみなしている
- 「未来の自分」などという考えを捨て、空想のヒーローに頼るのはやめよう
以上、『「未来の自分」を過大評価するのはやめて、空想のヒーローは忘れるべし』という記事でした。
私もまだ「未来の自分」というヒーローをでっちあげてしまうことが多いです。
特に本を読みふけって夜更かししてしまったあとは、「明日の自分は朝早めに起きて、昼に仮眠をし、夜はいつも通り早寝するぞ!」なんて考えています。
実際は朝寝坊し、仮眠は夕方以降になり、夜はさらに寝るのが遅くなってしまうんですが。
未来の自分は、「デキるやつ」ではなく「全然使えないやつ」というイメージを持っていれば、先延ばしを減らせるはずですよ。