時間やお金が欠乏すると、「ジャグリング」という状況に陥る可能性があります。
ジャグリング状態は私たちの人生の幸福度をどんどん下げてしまう悪循環です。
だったら、生活をシンプルにして「余裕」を生み出そうってのが今回のテーマ。
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1.時間やお金の欠乏でトンネリングに陥る
私たちは時間やお金などの資源が足りないと感じるとき、「トンネリング」という現象に陥ります。
トンネリングとは、目先のものに過剰に意識を集中してしまうことであります。
たとえば貧乏な家庭の場合、「今日1日をどう生きるか」だけをトンネルの内側に持ってきて、「将来のためにどうお金を使うべきか」といった考えはトンネルの外側にあります。
あるいは故障した洗濯機を買い換えるとき、目先の代金を節約することばかり気にかけ、日々の電気代や水道代を考慮せずに購入を決めてしまうこともあるでしょう。
その結果、貧困がさらに加速してしまうってわけですな。
これは時間についても同じくいえることで、本当は重要度の高い用事をすませるべきなのに、「時間がない」と感じているときほど緊急度の高い用事をすませようとしてしまいます。
こうして欠乏によるトンネリングを引き起こし、その場しのぎの解決を繰り返していると、いつしか「ジャグリング」という状態にハマってしまうのです。
2.その場しのぎで解決する「ジャグリング」
ジャグリングってのは、直面した問題を根本から解決しようとせずに、その場しのぎを繰り返すことによって新たな問題がどんどん襲いかかってくる状態のことであります。
それは緊急の課題を曲芸並みに次から次へとやりくりすることである。ジャグリングはトンネリングの論理的帰結だ。
人はトンネリングを起こすと、問題をその場しのぎで「解決」する。いまできることをやるのだが、それが将来の新しい問題を生む。
一度ジャグリングを起こしてしまえば、欠乏から抜け出すことは困難になるでしょう。
どれかひとつの問題を解決しようと試みている間に、別の問題が降りかかってくるのですから。
このジャグリングを解説した印象的なエピソードのひとつに、組織研究者による製造会社の例があります。
機械の動作可能時間は重要なので、会社はメンテナンス技師に、故障にはできるだけ迅速に対応するよう促した。それでも全体の業績は上がらなかった。技師一人一人ではなく、マシン一台一台の記録をつけて分析するようになってはじめて、会社は[理由に]気づいた。
技師は……応急処置をして、次のマシンに移る。ひとつの故障が……最終的に解決されるまでに三回も修繕されていた
「できるだけ迅速に」という指示が、メンテナンス技師たちに時間の欠乏をもたらした結果、マシンの修繕が何回も続くジャグリング状態を引き起こしてしまったわけです。
時間の欠乏は集中力を高めてくれますし、お金が欠乏すればより有効なモノを買えるようになるメリットも存在します。
ですが、ジャグリングに陥ってしまわないよう、注意を払う必要があるんですな。
3.暮らしをシンプル化し、スラックを増やすことが大事
今回のネタ本『いつも「時間がない」あなたに』では、こうした欠乏によるデメリットを解決する方法は記されていません。
ですがヒントとなる考え方があります。
それが「スラックを増やす」というもの。
スラックってのは、「たるみ」とか「ゆるみ」を指す言葉で、余剰資金とか時間の余裕と考えてもらえればOK。
欠乏の罠を避けるのに必要なのはたんなる豊かさではない。
使いすぎたり先延ばしにしたりしても、ほとんどのショックをなんとかできるだけのスラックを残せるくらい、十分な豊かさが必要だ。
ぐずぐず引き延ばしても、予想外の期限に間に合わせられるだけの時間がちゃんと残るくらいの豊かさが必要だ。
欠乏の罠にはまらないためには、世間がもたらすショックや自分で背負い込むトラブルに対処できるだけのスラックが求められる。
つまり、常に心の余裕を持ち、お金の余裕を持ち、時間の余裕を持ってものごとに取り組むことが大事だよってことです。
以前に紹介した「なるようになるさ」の楽観主義についての話も、心の余裕を強制的に生み出すライフハックでした。
同じように、お金や時間を贅沢に使えるよう、暮らしを工夫してみましょう。
たとえば、スマホを格安SIMに切り替えるなどして毎月の支出を減らし、最新機器や代行サービスを使って仕事・家事などやるべきことを減らす。
そうして生活をシンプルにすれば、スラックはどんどん増えていきます。
スラックが増えれば、自分が直面している問題にかんして、お金や時間のリソースを投入してじっくり考えられるようになるはず。
支出が多すぎる生活をやめ、やるべきことが多すぎる生活をやめて、より豊かに暮らしましょう。
まとめ
- 時間やお金の欠乏は、目先のものへ集中する「トンネリング」を生み出す
- トンネリングによってその場しのぎの解決を繰り返すと「ジャグリング」状態に
- そうならないため、暮らしをシンプルにして「心・お金・時間」の余裕をつくりだそう
以上、『時間やお金の欠乏が生み出す残酷な結末「ジャグリング」とは』という記事でした。
当ブログでも何度か記事にしている『いつも「時間がない」あなたに』は、日々を豊かに暮らすためのヒントがたくさん詰まった本です。
具体的に「こうするといいよ!」ってアドバイスは少ないですが、豊富な研究や具体例を参考にしつつ、欠乏による悪影響のない生活を送りたいところです。