『投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント』という本を読みました。この本のすごいところは、『ウォール街のランダム・ウォーカー』のバートン・マルキール、『敗者のゲーム』のチャールズ・エリスという2大巨頭の共著となっている点です。
投資家のバイブルとなっている2冊の著者が口を揃えて提示する、投資の5原則が載っていたのでまとめてみました。
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1.若いうちから節約・貯蓄すること
ゆっくりと確実にお金を貯める秘訣は、投資で得た利益を再投資(複利)すること。アルベルト・アインシュタインは複利こそが宇宙で最も強力な力だと言った、とされる。要するに、投資したお金に利息がつくだけでなく、その利息にも利息がつくからだ。
貯蓄や投資を始めるのであれば、若ければ若いほどよいとされています。なぜなら、時間経過による「複利」の恩恵をより大きく受けられるからであります。
要は、月1万円を20歳の時から40年コツコツ投資する方が、月10万円を50歳の時から10年投資するよりも、ずっとすぐれているってわけですね。
細かい計算は省きますが、アインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだ「複利」のパワーはすさまじいものがあります。とにかく一気にがっつり貯金をしようと思うより、少額でもいいから若い頃から貯蓄や投資をし続けることがよろしいのであります。
2.国や会社の制度を有効活用すること
日本でもつみたてNISAやiDeCoといった制度がスタートしていますが、これらの制度は積極的に使っていきましょう。なぜなら、貯蓄を増やすだけでなく支払う税金を軽減する効果もあるからです。
買った時よりも値上がりした投資信託を売却すると、売却益に20.315%(記事執筆時点)の税金がかかります。10,000円分儲けたとするなら、2,031.5円が税金としてもっていかれるわけです。せっかく利益を出したのに2割も持っていかれるのはイヤですよね。
ところがつみたてNISAやiDeCoといった制度を使えば、この2割の税金を抑えることができるわけです。
つみたてNISAの上限枠いっぱいの40万円分を投資信託で買ったとして、41万円に値上がりしたときに売却したとします。ここでも同じ10,000円の利益が出ていますが、ここに税金は課せられず、そのまま10,000円が手元に残ります。
これが10万円、100万円といった単位の利益になると、2万円、20万円の税金が不要になるってことですんで、積極的に使わなければ絶対に損。
3.「インデックス・ファンド」に投資すること
インデックス・ファンドは株式市場(または債券市場)のすべて(すべてではないときもあるが)を、銘柄を選ばずに単純に買うものだ。この「選択をしないで市場にある銘柄全体を買う」インデックス・ファンドに投資すると、あなたはすべての主要企業の株主になる。
資金の投資先としては、株式や債券、外貨、金、不動産などたくさんの種類がありますが、『投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント』で一貫して推奨されているのが「インデックス・ファンド」というものです。
これは市場に出回っている株式をまるごと全部買おうって試みのことで、以前当ブログで紹介した「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」なんかが代表的です。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドは、その名の通り全世界で買える株式をもれなく組み込んだ投資信託です。これを買うことによって、世界全体の経済成長に投資していることになるわけですね。
インデックス・ファンドと対になる投資信託として「アクティブ・ファンド」というものがあります。こちらはプロの投資家が「成長しそう」という株式を選んで組み込むタイプの投資信託ですね。
ところが、過去の研究からアクティブ・ファンドの運用成績は、インデックス・ファンドに及ばない…っていう結論が出ています。たとえ投資のプロが運用しても、市場全体を買うインデックス・ファンドの成績には勝てないってことですね。
その理由はいくつかあるんですが、詳しくは『投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント』や類書を読んでみてください。
4.「リバランス」を図ること
たとえば、投資を始める前に「株式を50%、債券を50%」というルールを決めて買ったとします。購入後しばらく経つと、どちらかが値上がりしてどちらかが値下がりすることで、「株式60%、債券40%」みたいな資産比率になってしまうことも十分あり得ます。
そんな時に株式を少し売って債券を少し買うことで、再び「株式50%、債券50%」の比率に戻すことを「リバランス」っていいます。このリバランスも定期的にやろうね、ってのが5原則の4つめ。
なぜそんなことをするのかっていえば、利益が出やすくなるからです。上の例でいえば株式60%、債券40%」になっているってことは、相対的には株式が値上がりしており、債券は値下がりしているってことになります。
そこでリバランスをおこなうと、株式は高値で売り、債券は安値で買う…ってことになるわけです。「安く買って高く売る」のが儲かる投資ですから、非常に合理的なわけですね。
5.自分の感情に従わないこと
投資の5原則の最後の1つは、感情に従わないこと。「月1万円投資する」「インデックス・ファンドを買う」「年に1回リバランスする」といったルールを決めた後は、絶対にそのルールを守ろうねってことです。
景気が悪くなって「日経平均株価が暴落!」みたいなニュースを見ると、損をしたくないからとつい手元の投資信託を売りたくなってしまうことでしょう。でも、それはNGだぞってわけですね。
逆に、相場が上向きだともっと買い足したくなる欲が出てくるかもしれません。でも、やっぱりルールを破るのはよくないぞ、と。その理由の1つが、売買する回数を増やせば増やすほど、手数料や税金がかかってしまうことにあります。
利益が出ているものを売れば税金がかかりますし、投資信託を購入する回数を増やせば手数料がかさみます。そうした諸経費が利益を圧迫し、資産形成を妨げてしまうってことです。
もちろん、精神衛生上よろしくないって問題もあります。できれば「証券口座をチェックするのは月1回まで」みたいなルールを決めて、感情で振り回されないような仕組みをつくるといいですね。
まとめ
以上、『ウォール街のランダム・ウォーカー』と『敗者のゲーム』の著者が『投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント』という本の中で説いている投資の5原則について書いてきました。
翻訳の投資本の中では、かなり薄くて読みやすい部類に入ると思います。難しい話が苦手って方でも、比較的通読しやすい本でしょう。ここにあげた5つの原則について、もっと詳しく知りたいって方は、ぜひ同書を読んでみてください。