これからWEBライターを目指して勉強しようと考えたとき、まず初心者がやるべきなのは読みやすい文章を書くスキルを身につけることです。「読みやすい文章」とひとくちに言っても、意識的に増やしたほうがいいものと、逆に減らしたほうがいいものの2種類が存在します。
増やすべきもの
まずは読みやすい文章のために増やすべきものから。
・主語
・改行
・ひらがな、カタカナ
ポイントとなるのは、この3要素です。
主語
日本語には、主語を省略しても伝わるという特徴があります。繰り返し同じ主語を書くのは、なんだか野暮ったい感じを受けるかもしれません。でも、読みやすい文章を書くなら絶対に主語は省略せずに書くべきです。
たとえば、次のような例文を読んでみてください。
「彼はリンゴを買うために近所の商店街に行ったと、後から聞いた」
これを一度読んで「彼はリンゴを買うために近所の商店街に行ったと、(私は)後から聞いた」と頭の中で主語を補足できるのは、読解力が高い一部の人たちだけ。多くの人は「後から聞いた」の主語も「彼」だと勘違いしてしまったり、一度読んだだけでは理解できず「ん?」と立ち止まってしまったりします。
読みやすい文章を書きたいと考えるなら、読み手に考える時間を作らせてはいけません。その時間があるだけで、「なんだか読みにくいな」「難しそうだな」と感じる原因となり、読むのをやめてしまうからです。
改行
WEBライターの仕事として長い文章を書くときには、パソコンを使って執筆するという方がほとんどです。しかし読み手となるユーザーは、パソコンではなくスマホで文章を読むのが普通です。
このように書き手と読み手の環境が異なっていると、「パソコンでは読みやすいのに、スマホからだと読みにくい」という状況が生まれる原因になってしまいます。具体的には、スマホの小さな画面が文字に埋め尽くされて窮屈に感じられるんですね。
読みやすい文章を書くためには、まずは読み手の立場になって文章を読まないといけません。そのための第一歩として、自分がパソコンで書いた文章を、スマホでも見直してみるというテクニックを使ってみましょう。
スマホから読んでみて、大体2〜3行くらいがベストな改行タイミングです。4行以上になってしまうと「なんだか窮屈だな」という印象につながるため、あまり長くなりすぎないところで改行を入れてあげましょう。
しかし、ブログやSNSでよく見かける「、」で改行するというのは可能な限り避けたほうがいいでしょう。改行というのは文章のまとまりを区切るために使われるものだからです。文章がまだ続くのに「、」で改行が入ってしまうと、文章のリズムが悪化してしまいます。
ちなみに、案件によっては「一文ごとに改行を入れてくださいね」と指示されることもあります。その場合は、指示にしたがって一文ずつ改行を入れましょう。ただし、文章のまとまりがわかりづらくなってしまうため、見出しを多めに入れたりしてあげるといいですね。
ひらがな、カタカナ
パソコンには便利な変換機能があるので、文章を書いているとつい普段使わないような言葉まで漢字にしたくなるかもしれません。でも、漢字が多すぎる文章はまるで真っ黒なマーカーが引いてあるような印象につながり「読みにくそう…」と思われやすくなります。
具体的には、次のような漢字は基本的にひらがなで書くことが望ましいです。
●事・時・等・尚・何故・更に・全て・色々・様々・出来る・分かる
○こと・とき・など・なお・さらに・すべて・いろいろ・さまざま・できる・わかる
もちろん漢字をゼロにすべきとはいいませんが、初心者の方はひらがなの量が多めになるように意識するのがおすすめです。ひらがなばかりが続くのもよくありませんので、たとえば「イチから」「ゼロにする」のように、意図的にカタカナを入れるのもおすすめですよ。
減らすべきもの
次に、読みやすい文章のために減らすべきものについてです。
・否定語
・副詞・形容詞・指示語
・難しい表現(小学生が理解できないもの)
・読点「、」
ここではこの4つを取り上げます。
否定語
たとえば「多いです」と「少なくありません」はどちらも同じ意味で使われますが、どちらのほうが意味が入ってきやすいでしょうか? きっと「多いです」のほうがスラスラ読めると感じるのではないかと思います。
人間の脳は、否定語がついていると思考が圧迫されるので「読んでいて疲れるな」と感じさせる原因になってしまいます。なるべく否定語を使わずに文章を書くことが、読みやすさを 高めるコツなのです。
上級者向けのテクニックとして、ときには否定語を織り混ぜることによって文章にスパイスを加える方法もあります。「りんごが多いです。みかんも多いです」という単調な文章を「りんごが多いです。みかんも少なくありません」とすることで、より洗練された表現にすることができます。
ただ、初心者のうちは基本的に否定語は使わないように意識するのがおすすめです。
男性以外→女性
未成年→大人
不得意→苦手
このように言い換えることによって、ストレートに伝える表現を使いましょう。
指示語
指示語というのは、いわゆる「こそあど言葉」のこと。
「彼女の笑顔はとても素敵で、その眼差しに、この心は感動を覚えた」
このような文章は一見すると問題がないように思えますが、「その」「この」といった指示語が増えることで、読み手への負担は少しずつ大きくなっていきます。ちょっと野暮ったく思えるかもしれませんが、指示語は使わずしっかりと主語を書くことがポイントです。
「彼女の笑顔はとても素敵で、彼女の眼差しに、私の心は感動を覚えた」
難しい表現(小学生が理解できないもの)
パソコンだとつい漢字を多く使ってしまうように、難しい表現もムリにしてしまおうとする駆け出しライターもいます。一部の人しか理解できないような専門用語を使ったり、難解な漢字を使ってしまうのも避けるべきです。
目安としては、小学生でも理解できるような表現を目指すといいでしょう。読み手にできる限り負担をかけないような書き方をすることで、読みやすい文章が完成します。
もちろん、どんな読み手を想定するのかによっても、使うべき表現は異なってきます。
たとえば美容についてほとんど知らない男性に向けて書くなら、基礎的なところから丁寧に書く必要があります。でも、美容意識が高い女性に向けて書くなら、専門用語をバンバン使っていかないとまわりくどくなってしまいます。
読点「、」
1つの文章が長くなればなるほど、読みにくくなってしまいます。とはいえ、文章を書いているとあれもこれも詰め込みたいと考えて、つい一文が長めになってしまうもの。
できるだけ文章を短くまとめて読みやすくするためには、読点「、」を減らすというルールを決めるのがおすすめです。読点が多くなればなるほど文章が長くなり、読み手に負担をかけてしまいます。
一文の中では基本的に読点は1個。多くても2個までにして、2個以上入れたいと思ったときには二文にわけましょう。これを意識するだけでも、長くてわかりにくい文章を防止して、読みやすい文章を生み出せるでしょう。